GERBERA PARTNERSブログ

国際税務|中国進出企業の労務リスク管理と対策①~募集時のリスク~

2017/10/31

Q、中国現地法人で従業員を雇用しようと思っています。想定される労務リスクとその対処方方法を教えてください。

A、様々な労務上のリスクが想定されますが、その中でもまず最初に遭遇するであろう従業員の募集に関するリスクについてご説明させて頂きます。

 


 

解説(公開日:2017/10/31 最終更新日:2017/11/02)

外資企業が中国で発展していくためには、企業経営に関する中国の法律規定を理解することが必要不可欠といえます。特に従業員の雇用に関連する労務リスクについては、外資企業が現地法人を設立し、その経営を行ううえで、まず最初に遭遇するリスクであると言えます。

 

特に中国では、労働関連法制が絶え間なく整備されていくことにより、従業員の権利意識は否が応にも高まり、使用者である外資企業にとって、雇用分野における労務リスクは日増しに目立ってきています。特に外資企業の場合、中国の労働法規を理解していないことが原因で大きな労務問題を引き起こすことが多々あるのはご存知のとおりです。

 

企業の労務リスクは、労働契約の締結やその後の契約の履行のなかで、右図に掲げるように労務管理の各段階において数多く存在し、企業に対して深刻な影響を及ぼしていると言えます。

今回は段階的に想定されるリスクのうち、従業員の募集に際して生じうる労務リスクについてご紹介いたします。

 

従業員の募集に際して生じうる労務リスク

 

(1)「公平な就業の規定」に違反することで生じうるリスク

中国の『就業促進法』では、企業が従業員を募集する際には、従業員に平等な就業機会と公平な就業条件を提供し、就業差別をしてはならないと規定されています。たとえば、性別を理由にして女性を雇用しなかったり、または女性の雇用条件を高くしたりすることが就業差別にあたるとされています。

 

これらの就業差別は、上記のように女性従業員であることを理由に差別することのほか、労働契約締結時において結婚や育児(生育)を制限する内容を入れたり、障がい者であることや伝染病のキャリアであることを理由にして雇用しないことなどが挙げられます。

法律で規定された特別な理由がないにもかかわらず、企業が従業員を募集する過程で上記の行為を行った場合には、就業差別と認定される可能性が高く、企業は相応の法的リスクを負うことになります。

 

(2)事実の通りに告げる義務の不履行により生じうるリスク

『労働契約法』第八条の規定により、企業は従業員を採用するにあたり、その従業員に就労内容、就労条件、就労場所、労務災害、安全生産状況、労働報酬および従業員が求めるその他の情報をありのままに告知しなければならないとされています。

また、企業は従業員の労働契約締結および履行に直接関係のある従業員の基本情報を知る権利があり、従業員は事実をありのまま説明しなければならないとされています。

 

上記の法律規定に基づき、企業は就労内容、就労条件、就労場所、労務災害、安全生産状況、労働報酬などを、従業員が求めなくても、自ら事実の通りに従業員に知らせなければなりません。実務に際して、企業はこれらの自ら告知する義務を見落としがちで、労使紛争を引き起こす原因となることがよくあります。

 

(3)従業員の身分証明書を差し押え、従業員に担保の提供を要求する場合のリスク

『労働契約法』第九条の規定により、企業は従業員を採用するにあたり、従業員の身分証明書その他の証明書を「保証」として提出させてはなりません。また、企業は従業員に担保を提供するよう要求してはならず、その他の名目で従業員から財物を徴収してはならないとされています。

 

一部の企業は、従業員の合理的な移動を制限することを目的に、従業員の身分証明書その他の証明書(例えば、暫住証や学歴証明書など)を差し押さえたりしていますが、『労働契約法』ではこれらの行為に対して厳格な禁止規定が設けられており、もし企業が従業員の居民身分証などの証明書を差し押さえた場合、労働行政部門が一定期限内に従業員本人に返還するよう命じ、法律に基づいて処罰することができます。

 

一部の企業は、従業員が勝手に黙って立ち去ることにより損失を被ることを防止するため、雇用時に従業員に担保の提供を要求したり、従業員からデポジットを取ったりしていますが、これらの行為も中国では厳格に禁止されています。

 

ただし、一部の企業では上述のような保証は取らないものの、服装費、宿泊費、教育費などの名目で保証に代わるものを徴収したりしており、これに対して『労働契約法』では企業が担保またはほかの名目で従業員から財物を取る場合、労働行政部門が一定期限内にそれらを従業員本人に返還するように命じ、企業に対して一人当たり500元以上2,000元以下の基準で罰金を科し、従業員に損失を与えた場合は賠償責任を負わなければならないと規定されています。

今後もブログでは、中国現地法人における労務上のリスクをご紹介していきます。

 

次回は、『労働契約締結時及び契約履行中の労務リスク』のリスクです。

 


 

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