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消費税|この先どうなる?消費税の軽減税率ってどういうものなの?

2014/11/24

Q 先の衆議院解散の理由ともなった消費税率10%への引上げですが、そもそも10%に上げるために軽減税率の適用も視野にいれた検討をするということが前提だったはずのこの『消費税の軽減税率』とは、いったいどういうものなのでしょうか。

 

A 消費税の軽減税率は、平成26年度税制改正大綱において「消費税の軽減税率制度については『社会保障と税の一体改革』の原点に立って必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する」旨が決定されています。

 

 そして本年6月において政府税制調査会が「消費税の軽減税率に関する検討について」(以下「六月資料」という。)を公表して、この中で低所得者への配慮として生活必需品にかかる消費税負担の軽減などの観点から対象品目を絞り込むとの考えの下、軽減税理対象品目について所要財源とともに飲食料品8案を、区分経理方法について4案をそれぞれ提示しています。

 

1.対象品目

「六月資料」では、軽減税率の対象品目を飲食料品に限り線引き案を以下の8案で提示しています。

(1)全ての飲食料品

(2)酒を除いた全ての飲食料品

(3)酒と外食を除いた全ての飲食料品

(4)酒、外食、菓子類を除いた全ての飲食料品

(5)酒、外食、菓子類、飲料を除いた全ての飲食料品

(6)酒、外食、菓子類、飲料、加工食品を除いた全ての飲食料品

(7)米、みそ、しょうゆに限定

(8)精米のみに限定

 

 これらを適用した場合に単一税率と比べた場合の減収額は税率1%あたり6,600億円~200億円となり、また適用した場合の課題としてはそれぞれ線引きがグレーで決定が難しいということと、飲食料品とその他生活費需品のバランスや飲食料品間でも庶民感覚としてのバランスに問題が出る場合があるなど課題も多いものとなっています。

 

2.区分経理

「六月資料」では、区分経理案について下記4案を提示しています。

(A案)区分経理に対応した請求書等保存方式

(1)売手に対し区分記載請求書等(軽減品目に印を付した上で税率毎に取引金額を記載した請求書をいう。)の交付義務は課さないが交付した場合は写し等の保存を義務付け。

(2)買手は、区分記載請求書等の保存が仕入税額控除の要件となる。

◎留意点等:買手は免税事業者からの仕入についても仕入税額控除が可能であるため売手がどちらに該当するかの確認をすることなく取引ができる反面、買手は請求書に付された印を参考にするものの最終的には自らの判断で標準と軽減に区分して経理するため売手の納付税額と買手の仕入税額を直接連動させるものとはならない。このため売手側で虚偽の記載をした請求書を発行するという誘因が働く。

 

(B案)A案に売手の請求書交付義務等を追加した方式

(1)A案に加え請求書交付が義務化されかつ、区分記載請求書等の不交付や偽りの税率区分を記載した請求書等の交付行為に対して罰則あり。

◎留意点等:適切な区分記載請求書等の発行が一定程度担保されるため、A案と比べれば買手が適切な区分記載請求書等の交付を受けられる可能性が高い。しかし免税事業者は自らの納税には結びつかない税率を判断して請求書発行する義務が課されるため免税事業者の事務処理能力上可能かという事実上の問題がある。

 

(C案)事業者番号及び請求書番号を付さない税額別記請求書方式

(1)売手である課税事業者に対して税額別記請求書の交付及び保存を義務付け。また税額別記請求書の不交付及び偽りの税率区分を記載した請求書等の交付行為に対しては罰則。

(2)買手は、税額別記請求書の保存が仕入税額控除の要件。

(3)免税事業者である売手は税額別記請求書を交付できず、買手も免税事業者からの仕入は仕入税額控除の対象外。

(4)免税事業者が行う税額別記請求書類似書類の交付には罰則を設け、当該書類に基づく仕入税額控除を認めない。

◎留意点等:売手が請求書に記載する税額は売手の納税額と直結するため虚偽記載をしづらい。また税率区分ごとの集計が不要で税額別記請求書の記載された税額に基づき納税額を計算することが可能。反面、免税事業者は課税選択しない限り税額別記請求書の発行が可能とならないため取引を避けられる可能性がある。

 

(D案)EU型インボイス方式

(1)C案に加え登録事業者の事業者番号(VAT-ID)及び請求書番号の記載を義務付ける仕組み。

◎留意点等:インボイスにより事後的な追跡が容易となる。また税務執行における取引情報等の名寄せが容易となる。一方で事業者の事務負担やシステム改修のコスト負担が増大する。

 

 このように、それぞれの区分経理方法において様々なメリット、デメリットがありどの区分経理方法で対応するのが望ましいか、また事業者への負担などいろいろな点を考慮して決定する必要があるのでこちらについても決定するのは一筋縄ではいかないでしょう。

 

 仮に衆議院議員選挙の結果、安倍政権が続投した場合には消費税の10%増はさらに1年半延期される可能性がありますが、それは軽減税率の制度適用も延期されることをあらわしており、事業者にとっては将来的に事務負担が増えることは間違いのないこの軽減税率の適用についてどのような情勢に傾くかという観点からも今回の選挙戦については動向を注視する必要がありそうです。

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