GERBERA PARTNERSブログ

相続税|配偶者の税額軽減の特例は遺産が未分割の状態ではどうなる?

2016/03/10

Q 母が他界しました。兄は母の財産はいらないと言っていましたが、母が生命保険の死亡保険金の受取人を私にしていたことを知ると、やはり財産を相続したいと言いだしました。相続税の申告期限が間近であるにも関わらず、未だ遺産分割協議が確定していません。母の財産の大半を父名義にし、配偶者の特例により父の相続税をゼロにしたいのですが、期限後申告でも大丈夫でしょうか。

 

A 結論から言いますと、放ったらかしでは特例制度は適用できません。

 また、特例を適用すれば税額がゼロになるので税務申告自体が不要と勘違いされておられる方も多いです。特例を適用したいのであれば税務申告は必ず必要です。

 

 遺産分割協議が未分割のまま申告期限を迎える場合は、法定相続分での申告&納税が必要です。

 

■相続財産が分割されていないときの申告(国税庁HP)

 

 

 相続税法第55条に、「未分割遺産に対する課税」という雑則があります。そこでは未分割財産は法定相続分により申告しなくてはならないという規定が記載されています。

 

 従いまして、申告期限(死亡してから10か月)までに分割が終了しない場合、未分割のままになりますが、法定相続分での税務申告及び納税は必ず必要になります。

 

 その後、遺産分割協議が終了したら、4か月以内に再度税務申告書を作成して提出します。この時に配偶者の税額軽減の特例等を適用し、税金が課税されない結果になれば、払い過ぎた税金はもちろん返してもらえます。

 

 配偶者の税額軽減は、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりませんが、特例として、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付したうえで、3年以内に分割が確定した場合は、遺産分割が終了してから4か月以内に税務申告をすれば配偶者の税額軽減の適用が可能になります。

 

 言い換えますと、申告期限までに遺産分割協議が確定していれば、期限後に申告(単に申告期限に間に合わなかった場合)した場合でも配偶者の税額軽減は適用できますが、申告期限までに遺産分割協議が確定していない場合は、分割見込書(申告期限後3年以内の分割見込書)を申告書に添付して提出した場合に限り配偶者の税額軽減の適用があります。

 

 この申告書には期限後申告書(単に申告期限に間に合わなかった場合の申告書)も含まれますので、遺産分割が完了するよりも前に、期限後申告書(単に申告期限に間に合わなかった場合の申告書)と分割見込書を提出すれば特例の要件を満たすことになります。

 

 以上を簡単にまとめますと、とにかく未分割の状態でも構わないので、いったんは「まだ未分割です」といった内容の税務申告及び納税を済ませておかないと配偶者の税額軽減の特例等が適用できなくなります。

 

 申告期限(死亡してから10か月)になってもずっと放っておいて、遺産分割協議がようやく終了したので「配偶者の税額軽減の特例適用で税金はゼロ」ということができないのです(未分割の状態での仮の税務申告&納税をしていないため)。

 

 さらには、税務署から「どうして未分割のままでもいいので、税務申告していないのですか?いったん未分割のままでもいいから申告及び納税をしてください」という連絡があり、相続税に加えて、無申告加算税及び延滞税が追加で徴収されてしまいます。

 

 無申告のまま放っておくことは税務上、重大なリスクが付きまといます。軽減措置を受けるためには、必要事項の記載と書類を添付した申告書を期限内に提出する、当たり前のことを遵守することが大事です。


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