GERBERA PARTNERSブログ

社会保険|役員様の労務管理のポイント ~二以上事業所から報酬を受ける場合の社会保険~

2015/03/17

Q 当社の役員は、当社から役員報酬を受けて社会保険に加入していますが、別法人からも報酬を受けています。このような場合は、社会保険の保険料はどのような計算になるのでしょうか?

 

A 二以上事業所で兼業をしている場合は、一般の従業員であればメインで仕事をしている方が加入要件(週の所定労働時間・日数など)を満たす場合が多いので、そちらの事業所で社会保険に加入します。

 

 ただし役員の場合は、勤務の実態とは別に、いくつかの会社の代表や役員を兼任していたり、報酬を分散させている場合が多く、社会保険の処理に迷うケースが多いようです。

 

 このような場合は、「所属選択・二以上事業所勤務届」を提出して、主たる事業所を選択する必要があります。これにより、年金事務所の管轄も決定されます。

(雇用保険については、労働者としての身分を有する場合に限り役員も加入しますが、主として生計を維持する給与をもらっている方の会社で加入することになります。)

 

 また管轄以上に大切なのは、社会保険料の算定です。

「二以上事業所勤務届」を提出すると各事業所での報酬をすべて合算した額により一つの標準報酬月額が決められ、保険料は会社毎の報酬月額で按分して請求されることになります。

 

 例えばA社から30万円、B社から70万円の報酬を受けている場合は、合計100万円が標準報酬月額となり、健康保険43等級、厚生年金30等級となります。(2015年3月現在)こうして決まった保険料に対して、A社へは30/100、B社へは70/100の金額で、納入告知書が届きます。各事業所の給与計算担当者は、この点を踏まえて、社会保険料控除を行わなくてはいけません。

 

 なお賞与を支払った場合は、そのつど事業所ごとに「被保険者賞与支払届」を提出することになり、支給日翌月の納入告知書で保険料を納付することになります。

 

 ここでご注意いただきたいのが、B会社での報酬を届出していないケースです。後から年金事務所の調査で発覚する事例が多くなっています。このような場合は、日本年金機構から「標準報酬決定通知書」により、合計した標準報酬額を決定されることになります。悪質と判断される場合は、遡って2年分の未払い保険料を請求される場合もあるようです。保険料の節約の目的で、意図的に届出を怠るようなことは、違法行為になりかねませんので、ご注意いただきたいと思います。

 

 社会保険については、個々の会社の事情や管轄の年金事務所によって、取扱が異なる場合があります。迷った場合は、ぜひ担当の窓口やお近くの社会保険労務士にご相談ください。

 

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