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労務管理|人事担当者様レベルアップシリーズ ~休業補償について整理しよう~

2015/02/10

Q 当社の社員の家族がインフルエンザにかかってしまったため、大事をとって社員本人にも休んでもらいました。その後、社員から「休業中の給料は出してもらえるのか?」との問い合わせがありました。このような場合、法律上は会社に支払義務はあるのでしょうか?

 

A 毎日の労務管理実務では、様々な理由によって社員の休業が発生します。そのような場合に、給料を払うべきか、無給とすべきか判断に迷うケースが少なくありません。判断基準は就業規則によりますが、別に法令で定められている場合があるので注意が必要です。具体的に、よくある事例ごとに整理してみたいと思います。

 

 まず原則論で言えば、欠勤や病欠など社員の責任になる場合は無給(欠勤控除)になります。逆に会社の責任で休業になってしまった場合は、様々な法令に照らして判断することになります。

 

(1)労災事故で休業したとき

労災は会社の責任になりますので、労災保険法で補償が決まっています。労災で休業した分は、休業補償給付として平均賃金の約8割が労災保険から支給されます。(ただし最初の3日間は待機といい、会社が直接に平均賃金の6割を支払います)

 

(2)病気で休業したとき

風邪をひいてしまった時や遊びに行って骨折してしまった時などです。最近ではうつ病などのメンタルへルスで休職してしまう人も増えています。病気で休む場合は会社から給料は出ませんが、健康保険から傷病手当金(標準報酬日額の3分の2、最長1年6ヶ月)が支給される場合があります。

 

 なおメンタルヘルス問題が難しいのは、(1)パワハラなどによる労災か(2)私傷病かの判断がしにくいことです。また傷病手当金は医師の診断書によって判断されますが、その内容が医師によって分かれることがあります。こうなると、会社と社員と医師の意見が食い違い、さらには個人的な感情や金銭の問題も絡み、問題が複雑化していきます。

 

(3)出産や育児による休業

原則として、会社から給料は出ませんが、健康保険から出産手当金、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。その他、会社や自治体ごとにお祝金や給付制度が用意されている場合がありますので、病院・自治体・会社から情報収集をしてみることをお勧めします。

 

(4)会社の特別休暇制度

特別休暇制度がどうなっているかは会社の就業規則によります。

一般的には結婚休暇や慶弔休暇は有給、裁判員休暇や生理休暇などは無給にしている会社が多いようです。

 

(5)事件・事故・トラブルによる休業

不慮の災害やトラブルによって休業になる場合があります。それが会社の責任によって休業となる場合は、社員の生活保障として、平均賃金の6割の休業補償を払うことになっています。(労働基準法26条)

 

 <例1> 

経営が悪化して、生産調整のために工場閉鎖などで、やむを得ず社員を休業させる場合のことを「一時帰休」と言いますが、この場合には休業補償が必要です。また、一定の条件に当てはまる場合は、雇用対策として助成金制度が用意されている場合がありますのでご確認ください。

 

 <例2>

社員が不正行為をしたような場合、懲戒処分が決められるまでの調査期間が必要になりますが、その間の自宅待機命令は、通常は「会社の都合」と解され、休業補償が必要となります。

なお、調査・審議の結果、出勤停止処分が確定した場合は、ノーワークノーペイで給料の支払いは不要です。

自宅謹慎といった曖昧な名目でダラダラと社内調査をしていると、腹をくくった社員から賃金不払いで反撃されるケースがありますので、要注意です。

 

 <例3>

懲戒解雇になるような悪質な行為があり、不正行為の再発や証拠隠滅の恐れがあるような場合は、その調査や審議の間、会社が「就業拒否」として無給にすることができるとされています。

 

 <例4>

インフルエンザなどの感染症で休業させる場合は、ケースバイケースです。

本人が罹患した場合は、病欠となり無休で問題ないと考えられます。

家族に感染が確認され、会社の判断として数日間の休業を命じるケースでは判断が分かれますが、行政のガイドラインなど公益上の要請がある場合は、無給とすることができるとされています。

ただし会社の判断として独自に休業を命ずる場合は、休業手当が必要とされる可能性があります。

 

(6)地震などの災害で操業できない場合

会社の責任とは言えない不可抗力となりますので、無給にすることができるようです。ただし自社ではなくて、取引先が被災した影響で操業できなくなるケースでは、休業補償が求められる事例があります。

 

以上のように、実際には、「会社の責任」「社員の責任」「不可抗力」とはっきり分けられない場合が多いと思います。実務上は、まずは判断を保留にして事態に対処しながら、有給とするか無休とするか、休業補償で対応するか、場合によっては有給休暇に振り替えるか会社としての判断を行っていくことになります。

 

いずれにせよ、労務管理の実務では、様々なパターンに対応できるように就業規則の整備が不可欠になります。弊社では、このような実務上の観点から、就業規則や諸規程のご提案も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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