GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|出向者に対する労務 ~出向先と出向元どちらが責任を負うの?~

2015/06/16

Q 当社の営業部長は親会社からの出向者です。労働保険料の申告や労災手続きなど、出向者に関する手続きを親会社と子会社のどちらでやるべきか迷ってしまいます。何かルールは決められているのでしょうか?

 

A 出向という名目で、グループ会社や関連会社で人材の動きが多くなっています。身内の組織ということで、取り決めがあいまいになりやすいのですが、何かとトラブルになりやすい部分ですので、分かりやすく整理してみたいと思います。

 

(1)出向の種類について

 

1.出向(在籍出向)

出向元との雇用関係を維持しつつ、他社へ出向すること。

 

2.転籍(移籍出向)

出向元をいったん退職して、他社へ就職すること。

 

 上記のように、出向には二種類あり、区分は決して分かりにくくないのですが、これらの違いをあえてあいまいにして運用しているケースもあったりして、その場合はトラブルになりやすいようです。

 

 なお、他の事業場で働くという点では派遣も近いイメージがありますが、労働者派遣は出向とは別のルールになります。

 

(2)出向に社員の同意は必要か?

 判例によれば、出向に関しては、就業規則等に規程があれば、個別の同意がなくても、有効とされています。

 

 ただし、左遷や報復を目的として人事権を悪用するなどの場合は、労働契約法14条の権利濫用とされ、無効となる可能性があります。

 

 また、ペーパーカンパニーである子会社に出向させることで、親会社の責任を回避しようとする場合など、「法人格が全く形骸にすぎない場合」は、法人格否認により、そのような出向の効果が認められない場合もあります。

 

(3)出向者に対する労働法の適用は?

 出向社員は、身分上の労働関係(=出向元)と労務指揮関係(出向先)とで二重の労働関係の上に立ちます。そのため、労働法の適用については、出向元、出向先につき、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働法の適用があるとされています。(昭和61.6.6基発333号)

 

 分かりやすく具体的にご説明しますと、就業規則について、勤務条件(労働時間や就業の場所など)に関わる部分は出向先の就業規則が適用され、解雇や退職などの労働者としての地位に関わる部分については出向元の就業規則が適用されます。

 

 賃金に関する規定については、現実の支払者の就業規則が適用になり、また現実の支払者が労基法の遵守義務を負うとされています。

 

 実務上は出向先で給与が支給されることが多いかと思いますので、出向先の賃金規程が適用される場合が多いのですが、出向元から格差補てんを行っている場合や、出向元から賞与を支給する場合は、その範囲で出向元の賃金規程が適用されます。

 

(4)労災保険に要注意!

 出向者の労務管理で注意すべき点は労災保険の関係です。出向者が、出向先の指揮監督を受けて労働に従事する場合は、労働保険料の計算は、出向先に含まれます。これは出向元から支給されている格差補てん給も含めて、全て出向先で労働保険料を申告納付することになります。また、労災発生時の手続きも出向先が行いますので、ご注意ください。この点で、派遣元で手続きを行う派遣社員と混同してしまい、出向先の人事担当者が何も対応してくれなかったというクレームになる場合があります。

 

 なお、企業の組織再編や会社分割に伴う転籍については、労働契約承継法の対象となる場合があり、また別の論点が出てまいりますので、次の機会にご紹介したいと思います。

 

 出向や転籍に関する労務管理についてのご相談は、お気軽にご相談ください。

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