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労務管理|有給休暇の「時季変更権」、正しい使い方とは?

2017/08/16

Q 年末の忙しい時に有給休暇を取りたいと従業員が申し出てきました。たしか有給休暇には会社側が拒否することが出来る権利があったはずです。この場合も、有給休暇の申し出をダメだと言っても、法律違反にはなりませんか?



A 有給休暇の取得は従業員側の当然の権利ですので、会社側がそれを拒否することは出来ません。ただし、従業員の請求に対して、その日に休まれると「事業の正常な運営を防げる場合」にのみ、会社は別の日に有給休暇を変更することができます。この会社側の権利を「時季変更権」といいます。この「時季変更権」が認められるかどうかは、個々の状況によって客観的に判断されます。

 


 

解説(公開日:2017/08/16 最終更新日:2017/08/18)

年次有給休暇は、法律で定められた従業員の当然の権利であり、従業員側が取得する日を決め、請求することが出来ます。原則として、会社側は従業員が希望する日に有給休暇を付与しなければなりません。ただし、その日に有給休暇を取得されたら事業の正常な運営ができない場合には、会社側には、指定してきた有給休暇を別の時期に変更してもらう「時季変更権」という権利があります。

 

「事業の正常な運営ができない」かどうかは、次のような点を総合的に考慮して判断されます。

  • ①企業の規模、内容
  • ②担当する作業の内容・性質
  • ③作業の繁閑度
  • ④代行者の配置の難易度
  • ⑤労働慣行
  • ⑥同じ時季に請求した人の人数

 

日常的に人手不足の会社が「人出不足のため」といっても、当然ですが認められません。

また、シフト制で会社側が配慮をすれば客観的にみて代行者を確保できるにも関わらず配慮を怠り、結果として代行者を確保できなかった場合には、「正常な運営ができない」と認められないことになります。

 

繁忙期の申し出に対しては?

年末の繁忙期など、その会社にとって特に忙しい時期であることが明らかであり、代行者の確保も困難であれば、「時季変更権」を使用することが認められます。その場合でも、まずは会社側が従業員の希望が実現できるように配慮を行っていたかどうかが問われます。配慮を尽くしたがそれでも「時季変更権」を使用するしかないのだという経緯が重要なポイントとなります。

 

退職予定者の退職日までの有給休暇取得は?

退職日を過ぎた日に、年次有給休暇を振り替えることは出来ません。引き継ぎも行わずに有給休暇を取得されては会社としては大変困りますが、有給休暇取得を拒否することは出来ません。この様な事態を防ぐためには、就業規則に「退職までに引継ぎを行うこと」を明記しておき従業員に対して会社のルールを周知させておくことや、年次有給休暇の一斉付与をする「有給休暇の計画的付与」を行い、普段から有給休暇を取得させておくことが、対応策として考えられます。

 

現在「働き方改革」として厚生労働省は、長時間労働対策とともに有給休暇の取得促進にも力をいれて取り組んでいます。有給休暇を取得しリフレッシュすることによって、従業員の心身の健康も確保できますし、結果として生産性向上にもつながります。

 

尚、年次有給休暇に対する違反には、労働基準法により「6ケ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則があります。正当な理由なく従業員が有給休暇取得を指定した日に出勤を命じた場合にも勿論、この罰則が適用されます。「時季変更権」とは、むやみやたらに使うものではなく、あくまでも正しい理由でのみ使用するようにして下さい。

当社は日常のちょっとした疑問など、様々な労務や社会保険に関するご相談を承っております。
いつでもお気軽にご相談ください。

 


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