GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|兼業・副業を認める場合に注意すべきこと

2018/01/10

Q、これまで従業員の副業は許可制にしており、原則禁止にしています。働きかた改革の一環で、副業を認めるようにという動きが出てきているらしく、従業員からの問い合わせが増えてきています。 副業を認めた場合、どのような影響があるのでしょうか?注意点を教えてください。

 

A、昨年11月20日に厚生労働省の「副業・兼業促進に関するガイドライン」案が発表され、兼業・副業を認めようとする動きが活発になってきました。会社がこれを認めて、従業員が副業・兼業を始めた場合、情報漏えいや競業のリスク、長時間労働による従業員の疲労の蓄積に対する健康管理、そして就業時間の通算に対する割増賃金の支給といったことが労務管理の上で注意点としてあげられます。

 

 

解説(公開日:2018/01/10  最終更新日:2018/02/28 )

これまで多くの企業が原則禁止にしてきた兼業・副業ですが、2017年3月の「働き方改革実行計画」を受けた、厚生労働省の「副業・兼業促進に関するガイドライン」案(2017年11月発表)で、容認への動きが進むことが予想されます。

 

現状としては、企業の約8割が兼業・副業を禁止しており、その理由のなかで最も多いのは「社員の長時間・過重労働を助長する」ことです。(2017年2月14日付株式会社リクルートキャリア「兼業・副業に対する企業の意識調査」より)

 

パート、アルバイトといった短時間勤務者には、原則認めていても、週40時間プラス残業時間が常である正社員に兼業・副業を認めた場合、過重労働で疲れた社員の自社でのパフォーマンスが落ちてしまうこと、健康被害は最も避けたいところでしょう。

 

一方で、兼業・副業を希望する人は増加傾向にあり、これからの企業選びの条件の一つとして兼業・副業の容認があげられることも考えられます。

 

今の原則禁止を緩めるか否かを検討するにあたって、従業員が兼業・副業をした場合に、どのような問題点がでてくるのか、注意すべき点について見ていきましょう。

 

■ 兼業・副業の禁止 法律的には?

多くの企業が、厚生労働省のモデル就業規則に倣って、兼業・副業は原則禁止、そして許可制にしています。しかし兼業・副業は、企業の就業時間外に行われるものです。企業が従業員に対して、指揮命令ができるのは、就業時間内と限られることに照らすと、そもそも兼業・副業を禁止することは可能なのでしょうか。

 

就業時間外は、従業員のプライベート時間となり、企業がその時間を規制することは基本的にはできません。

 

このため許可制もなく、全面的に禁止とした社内規定は無効とされる可能性は高いと言えます。しかし、兼業・副業によって、本業に支障が出る場合、企業秘密の漏えいまたは競業に当る場合には、これを禁止することは、裁判例からも有効とされています。

 

 

■ 労務管理上の注意点

従業員が、兼業・副業をした場合には労務管理上つぎの注意点が上げられます。

 

(1)労働時間の通算

始業前、終業後または休日に別の仕事をすることで、労働時間が長くなることへの懸念は、先のアンケートでも多くの企業が問題視しています。

長時間労働は、健康を害することにつながりやすく、疲労による本業での業務への怠りや残業の拒否などが生じることも予想されます。

また、法律上でも、別々の会社や事業所であっても労働時間は通算されることから、割増賃金の支払いの不足や、安全衛生面での、長時間労働を行なう者が希望した場合の医師面談の受入れといったことにも影響が出てきます。

 

労働時間を通算するためには、兼業・副業先での労働時間を把握することが求められますが、自社以外での労働時間の把握を強制的にすることはできず、従業員の自己申告に留めるということになります。

 

(2)情報漏えい・競業

兼業・副業が同業他社や取引先などといった場合には、本業に対して情報漏えいの危険や顧客への信用、企業間取引に対する影響が懸念されます。

 

(3)雇用保険

雇用保険や社会保険は、企業や事業所ごとの所定労働時間によって、加入対象となるかが決まります。労働時間のように通算されることはありません。本業で雇用保険に加入している場合には、副業では加入することはできず、算定の基礎となるのは本業での給与のみが対象となります。

 

(4)労災保険

労災保険は、就労している企業等ごとに加入します。本業での労務上災害は本業の労災、兼業・副業での労務上災害は兼業・副業の労災が適用されます。このため、労災による休業に至った場合には、適用となった企業等の給与が対象となるため、兼業・副業先での労災での補償は少額となる場合があります。

 

このような注意点から、兼業・副業を容認する場合のルールの整備や、ルールに沿った誓約書の提出を求めることが管理上想定されます。

また、労働時間の通算といった自社の管理の枠を超えたことまでが法律上求められることは、兼業・副業を促進することにブレーキがかかることから、法律が今後見直されることも予想されます。

 

労務管理の側面のみ見ていると、実務としては煩雑になるため避けたくなりますが、積極的に取り入れている企業の取り組みでは、従業員のキャリアアップによる知識やスキルの獲得、優秀な人材の獲得や流出防止、競争力の向上などがメリットとしてあげられています。

 

積極的に容認へ切替えるための自社ルールの作成は、企業の特性によっても異なってきます。弊社では、新制度を構築する際のルール作りのサポートをさせていただいております。

 
 

 
 

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