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労務管理|【在留カード確認・就業規則対応】外国人社員の労務管理のポイント

2018/01/31

Q、当社でも外国人社員の雇用する機会が増えてきました。雇用保険資格取得の際の届出はきちんと行っているつもりですが、その他に注意すべきことはありますか?

  A、雇用保険の届出以外にも注意点があります。厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(以下、「指針」と呼びます。)に従い、法令遵守を旨として労務管理体制を構築していくことが必要です。  

解説(公開日:2018/01/31  最終更新日:2018/01/24 )

『使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。(労働基準法第3条)』  

労務管理の世界では、外国籍であることを理由に特段の差別を行ってはいけないことになっており、基本的には、日本人社員と同等の管理を行うことになります。しかし、実務的には外国籍社員特有の問題があります。差別ではなく、特性に応じた適正な管理体制が必要となります。

   

(1)適正な在留資格の確認

『事業主は、外国人労働者を採用するに当たっては、第五に定める方法等を通じ、あらかじめ、当該外国人が、採用後に従事すべき業務について、在留資格上、従事することが認められる者であることを確認することとし、従事することが認められない者については、採用してはならないこと。(指針の第四の一の2)』

 

大前提として、会社で働くことができる在留資格を有していることを確認しなければなりません。企業で採用するために日本に招く外国人労働者の場合は、就労許可を取得するために、招聘企業が積極的に関与することになると思いますので、専門の行政書士に早い段階から相談しながら招聘を進めるべきかと思います。

 

すでに日本に在留している外国人を転職者として採用する場合は、前職での就労許可が当社業務でも有効なものであるのか、そもそも有効な在留資格を有しているのかを確認しなければなりません。具体的には、入管法第19条の2に基づく、就労資格証明書を本人に取得してもらうことになりますが、手続が難しい場合は、専門の行政書士の力を借りた方が早いと思われます。

   

(2)在留カードの偽造等の不正行為対策

【参考】法務省入国管理局 在留カード等番号失効情報照会  

こちらのサイトでは、在留カード番号の有効性の確認が簡単にできます。また偽造カードの見分け方も紹介されております。在留カードの偽造事案は思いの外ほか多いとのことですので、自社のコンプライアンスの観点から、こうしたチェックを日常的に行う体制が必要です。

   

(3)就業規則の整備

外国人労働者であっても、日本人社員と同様に就業規則が適用されます。 外国人であることを理由に差別的な運用は許されませんが、外国人労働者の特性を考慮した対応を行うため、例えば次のような条文が必要となります。

  【就業規則の条文例】 第●条(外国籍社員の採用) 1 会社は、外国籍社員の採用にあたっては、採用面接等で、在留資格を有しているかの確認を行うものとし、採用内定までに在留カードの提示を求めるものとする。 2 入社後であっても、在留カード更新のつど、会社の求めに応じて、在留カードの確認に協力しなければならない。   第●条(労働契約の解除) 外国籍社員が、会社で就労するために必要な在留資格を有していることが確認できないとき、又は関連法令に違反していることが判明したときは、労働契約を解除する。  

なお、外国人労働者に分かりやすいように労働条件通知書の外国語併記バージョンを作成したち、就業規則のポイントを外国語訳して配布する等の対応も望ましいものと思われます。

 

文書の整備や英訳作業は、思いの外、手間とコストがかかりますので、専門家にご相談の上、スムーズに進めるべきかと思います。

   

(4)搾取労働、最賃割れ、不当な拘束は問題外(指針の第四の二及び三)

労働条件や安全衛生に関する法令は、全て外国人労働者にも適用されます。不当な労働条件や賃金の未払いは当然違法行為となります。またパスポートや在留カードを会社で預かり保管するような行為もタコ部屋的な強制労働行為になりますので、違法行為です。

   

(5)労働保険、社会保険の加入(指針の第四の四)

外国人労働者であっても、労働保険及び社会保険への加入が必要です。会社や本人が希望しないという理由で未加入することが認められておりません。厚生年金については、脱退一時金の説明を行うなど、制度の理解を求め加入手続を取るようにしましょう。

  【参考】日本年金機構 短期在留外国人の脱退一時金    

(6)外国人労働者の雇用状況の届出(指針第五)

雇用保険に加入する外国人労働者については、資格取得届と同一書式で行いますので、漏れることはありませんが、短時間アルバイト等については、会社担当者が忘れやすいため、注意が必要です。

  【参考】厚生労働省HP 届出様式について    

(7)外国人労働者の雇用労務責任者の選任について(指針第六)

こちらについては、ハローワークへの届出は特に不要ですが、会社の人事担責任者等を選任し、コンプライアンス違反がないように、全社的にチェックできる体制が必要です。小売業や飲食店等では、各店マネージャーに採用が一任されている場合がありますが、コンプライアンスについては、本社の責任者が確認を行う体制が必要です。

   

(8)その他技能実習生の場合

その他技能実習生の場合は、別途規制がありますので、関連記事をご確認ください。

  【関連記事】平成29年11月1日より施行。外国人技能実習法の注意点とは。     その他注意事項については、厚生労働省パンフレットをご確認いただくのが確実です。   【参考】厚生労働省パンフレット「外国人雇用はルールを守って適切に」    

弊社では、実務的な観点から、人事労務を含め内部統制の整備をご支援させていただいております。社内規程や管理体制の整備でお悩みの場合は、お気軽に下記問い合わせフォームよりお申し付けください。

       

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