GERBERA PARTNERSブログ

賃金|選択型確定拠出年金(401K、DC)「ライフデザイン給」とは?

2016/03/15

Q 「ライフデザイン給」や「選択型確定拠出年金」を導入して、所得税や社会保険料を節約することができると聞きました。これは、どのような制度なのでしょうか?

 

A 従業員の福利厚生として退職金制度があります。従来は、「業界ごとの厚生年金基金」や「勤続年数をベースにした退職一時金制度」が一般的でしたが、運用成績の悪化や企業の積立不足により、退職金制度廃止に動く企業が増えています。

 

 そのような中、新たな退職金制度として、確定拠出年金制度(401K、DCとも呼ばれます)を活用が注目されています。節税メリットを活かしながら、従業員の老後の資産形成を応援しようという制度が「ライフデザイン給」や「選択型DC」と呼ばれるものです。

 

 節税、社会保険料節減と聞きますと、脱法的で怪しげな制度という印象をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、大手企業では一般的に採用されており、メリットが明確な制度であります。

 

 しかし、中小企業では、後述の運営コストの問題、情報の不足、制度構築ノウハウの不足等の理由により、浸透が進んでいません。何となく過去の退職金制度をそのまま残しているケースもあり、退職金原資の積立がなされないまま、簿外債務のリスクになっているケースもあります。

 

 政府としても、国民の老後の資産形成は急務の政策でありますので、確定拠出年金法改正案が国会審議中です。この改正により、100人以下の中小企業では、手続を大幅に緩和した「簡易型DC」が認められ、中小企業にとっても、さらに身近なものになることが期待されています。

 

 では、「ライフデザイン給」「選択型DC」とは、具体的にどのような制度なのでしょうか?

三井住友銀行が従業員27,000人を対象に2016年から導入する制度を例に確認してみましょう。

 

【三井住友銀行 平成28年2月22日プレスリリースより】

 

 毎月の給与を原資として新設される「ライフデザイン給付金」(27,500 円)をDCの掛金にするか、給与と併せて受け取るかを、従業員が選択できる制度です。DCの掛金額は 1,000 円~27,500 円の 7 種より選択可能です。

 

(中略)

 

DCの税制上のメリットを十分に活用可能とすべく、「ライフデザイン給付金」は法定限度額を上限とし、またライフイベント等に応じ柔軟に制度活用できるよう、年2回の加入・掛金額変更機会を設定。

 

 この記事から、従業員と会社のメリットを検討してみましょう。

 

(1) ここでポイントとなるのは、既存の給与の一部を「ライフデザイン給付金」として切り出す、ということにあります。この「ライフデザイン給付金」をDCの掛金にする場合は、給与として認識されずに、DC口座に入りますので、結果として「給与の額面が下がる」という状況になります。

そのため、課税所得や標準報酬月額が下がり、節税や社会保険料の節減になるということです。

 

 その他の制度(生命保険の個人年金、個人型DC、小規模企業共済等)でも掛金の一部または全部が所得控除になりますので、節税にはなります。

 

 しかし、選択型DCの場合は、給与額面そのものを下げますので、標準報酬月額すなわち社会保険料も下がります。これは会社負担分も下がりますので、会社側にとってもメリットです。

 

(2) 「ライフデザイン給付金」については、今までの給与に上乗せして給付することもできますが、そうなりますと、企業の負担が大きくなります。

これを、今までの給与の一部を切り出すことで、企業の負担無く、導入することも可能です。

 

 また既存の退職一時金制度を廃止して、その原資を「ライフデザイン給付金」として従業員の選択に委ねるという方法もあります。

 

(3) もう一点ポイントになるのは、「従業員が選択できる」という点です。DCは原則60歳になるまで年金として引き出すことができない制度です。老後よりも、現在の生活に資金が必要な若い社員は、無理に参加せず、「ライフデザイン給付金」を今までとおり、給与として受け取ることもできるのです。

 

 これにより、従業員の自主性を重んじた制度になります。また、事例の三井住友銀行では、従業員が自身のライフプランニングやDC試算運用を通じて、金融リテラシーの向上を図ることも目的であると発表しています。

 

(4) 問題は、導入する際の企業側のコストです。従業員が少数になりますと、(1)により社会保険料を節減できるメリットよりも、金融機関に支払う運営コストが多くなります。

金融機関ごとのコストもだいぶ異なるようですので、いくつか資料を取りよせ、見積もりを依頼してみるとよろしいかと思います。中小企業向けのコンパクトなパッケージを用意している機関もあります。

 

 退職金はコストになるから、無くて当たり前という時代ではありますが、従業員のライフプランを支援しながら、長期雇用へのインセンティブにするという選択肢もあってしかるべきと思われます。

 

 特に退職金制度は、大企業との格差が出やすく、人材の確保上、中小企業の弱みにもなっている部分ですので、こうした制度も検討してみてはいかがでしょうか?

 

 弊社では、従業員様の給与制度や福利厚生、また退職金制度のコンサルティング、規程作成等も承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズ


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