GERBERA PARTNERSブログ

年次有給休暇|有給休暇対策を何とかしたい~時間単位年休・半日年休を導入しよう~

2015/04/28

Q 当社は小売業を営んでいますが、店舗の人員もギリギリでシフトにも余裕がありません。従業員に有給休暇を取らせるのが現実的に難しいのですが、何かよい方法はありませんか?

 

A 有給休暇は、本来は従業員が希望する時季に申請して取得するものです。しかし小売業では365日営業が当たり前となり、シフトもギリギリの状況で、上司や同僚への遠慮もあり、現実的には有給休暇をとることをあきらめている状況も見られるようです。

 

 忙しい事業所でも、有給休暇が取りやすくなる制度として時間単位年休と半日単位年休をご紹介したいと思います。平成22年改正で導入された制度ですので、すでにご存じかと思いますが、改めて導入要件やメリットを分かりやすく整理してみたいと思います。

 

(1) 時間単位年休(労働基準法第39条4項)

◆労使協定を締結して、就業規則に記載することで導入可能です。

(この労使協定は届出する必要はありません)

 

◆原則として1時間単位で休暇を取ります。

(労使協定で2時間単位・4時間単位など定めることも可能です)

 

◆時間単位で休暇を取った部分は、通常の労働をしたものとして賃金を払えば問題ありません。

 

◆労使協定の内容で注意する点は下記の通りです。

・適用になる労働者の範囲を決めます(職種による区別は可能)

・時間単位で与えることができる日数は5日以内に限ります。

・休暇の利用目的によって差別するのは不適切です。

・「時間単位年休を取得できない時間帯」を定めることはできません。

・申請があった場合に、会社が時季変更することは可能ですが、時間単位を日単位に変更したりすることはできません。

・就業規則に定めをすれば、社員の希望により、後から遅刻に充当することも可能です。

 

(2)半日単位年休

◆時間単位年休と違い、労使協定は不要です。

会社と従業員の合意(就業規則の定め)があれば、導入できます。

 

◆原則として午前半日もしくは午後半日のどちらかしか認められない。

細かく時間帯を定めたい場合は時間単位年休を導入します。

 

◆厳密に一日の半分になる必要はありません。

午前の年休は9時~12時の3時間、午後の年休は13時~18時の5時間となっていても問題なく、0.5日の有給休暇を消化したことになります。

 

 冒頭で紹介したような、シフト制の多忙な小売業・外食サービス業での導入する場合には、当日の来客状況を見ながら柔軟に申請できるしくみを検討することもできます。

 

 また、社内で重要なポジションにある幹部社員を対象に導入することも可能です。忙しくてまる一日休むことは難しいような管理職でも、当日の業務スケジュールやアポイントの状況などに応じて、空き時間が出たら休暇として申請することで、隙間時間の積極活用が可能になります。

 

 中小企業では、有給休暇の残日数管理が煩雑になるという管理側の都合で導入に消極的な会社が多いのですが、実務運用ルールさえ一度定めてしまえば、効率的に処理することも可能です。また、社員にとっても仕事の進捗を自己管理しながら、タイムマネージメント能力の向上にもつながります。何かと多忙な現代において、隙間時間を有効活用していくということは、大事なポイントになります。

 

 弊社では、実務上の観点から様々な人事労務管理制度のご提案を承っております。就業規則や諸規程の改正も含め総合的な対策も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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