GERBERA PARTNERSブログ

助成金・補助金・給付金|【新型コロナ給付金】会社が証明をすると違法行為と認定されるのか?

2020/08/21

Q、アルバイト社員から「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」を申請したので、申請用紙に「会社は休業手当を支払っていない」と証明して欲しいと依頼されました。アルバイト社員が申請すること自体に異存はないのですが、会社が違法行為を行っていることを証明するような記載内容に抵抗感があります。どのように対応すればよいでしょうか?

 

A、厚生労働省のQ&Aにて、以下の回答が登場しました。 『支給要件確認書における、使用者の「休業手当を払っていない」旨の記述や、労働者の「休業手当の支払を受けていない」旨の記述は、労働基準法第 26 条の休業手当の支払義務の有無の判断に影響することはありません。』 法律的議論はさておき、「助成金申請としての証明行為」と「法律上の休業手当支払義務」については、別問題であるとの認識が示されましたので、労働者の証明に協力することが望ましいと考えられます。

 

解説(公開日:2020/08/21 最終更新日:2021/06/14)

 

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(以下、「新型コロナ給付金」と呼称します。)は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により中小事業主に雇用される労働者が事業主の指示により休業し休業中に休業手当を受けることができない場合に休業前賃金の8割(日額上限 11,000 円)を支給するものとして制度化されました。労働者個人が行政機関に直接申請するという点に特徴があります。

 

ただ、緊急に立法された制度ということもあり、法律的な立て付けが分かりにくい制度になっているため、企業の現場では会社と労働者の言い分がぶつかってしまうことが多く、混乱が生じている模様です。

 

争点となりやすい部分として、パートタイム・アルバイト社員(以下、「アルバイト」と呼称します。)の労働契約内容が実態として不明確になりやすいという点があります。

 

多くの中小企業においては、アルバイトは、シフトが入っている日は所定労働日で、シフトが入っていない日が公休日という運用が行われることが多く、コロナウイルスのような想定外の事態でシフトが減少した場合に、それが「公休」であるのか「会社都合による休業」であるのかの区別が付きにくいことが多く、休業手当の支払義務を巡って会社とアルバイトの見解が揃わないという状況になりやすいようです。

 

そもそも労働基準法第26条にいう、「使用者の責に帰すべき事由による休業」という概念は、労働法令上の代表的なグレーゾーンであります。今回のコロナ禍でも、新型感染症の蔓延という企業側のコントロールを超えている緊急事態に対しても企業側に給与保証責任を負わせる政府方針については、あまりに企業側に責任を広く負わせ過ぎているということで経済界からの反発も大きいところです。

(政府の見解としては、雇用調整助成金をご利用くださいということになりますが、当該制度はあくまでの助成金という行政裁量制度です。現実問題として、二転三転する行政判断に多くの企業が翻弄されています。企業側に過大な負担を負わせているという現実は変わりません。)

 

以上のような背景もあり、会社とアルバイトの間で、休業に関する議論がまとまっていない状況で、新型コロナ給付金の申請書にある、「申請を行う労働者を事業主が命じて休業させましたか。」とか「当該休業に対して、一部でも休業手当を支払っていませんか。」といった証明事項に「はい」と記入させ、会社実印を押すことを求めるような書式については、企業側にとっては、自社の違法性を認めるような印象になり、たいへん抵抗感があるものです。

 

ただ、この点については、厚生労働省から一定の見解示された形になり、下記のようなQ&Aが公開されましたのでご紹介させていただきます。

 

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 Q&A(厚生労働省)

 

(抜粋)

2-3 労働者から休業支援金の支給要件確認書の記載を求められています。事業主の記載欄に休業手当を支払っているかどうかを確認する欄がありますが、「休業手当を支払っていない」と回答した場合、ただちに労働基準法違反となるのでしょうか。【新規】

 

→ 休業支援金は、中小事業主に雇用される労働者であって、当該事業主の指示により休業しており、休業手当を受け取ることができない方を対象とした制度です。

この制度の対象となるかを確認するために、支給要件確認書において事業主に休業手当の支払いの有無を記載していただく欄を設けています。

労働基準法第 26 条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければならないとされていますが、使用者の責に帰すべき事由による休業に当たるか否かは、個別の事案ごとに、休業の原因や、使用者の休業回避努力の状況などを総合的に勘案し判断されます。

 
  1. 支給要件確認書における、使用者の「休業手当を払っていない」旨の記述や、労働者の「休業手当の支払を受けていない」旨の記述は、労働基準法第 26 条の休業手当の支払義務の有無の判断に影響することはありません。
  2. ※ 労働基準法第 26 条の休業手当の支払義務が認められる事案においては、雇用する労働者が休業支援金を受給した場合でも、それによって同条の休業手当の支払義務は免除されないことにもご留意ください。
 

労働基準法上の休業手当については上述のとおりですが、労働基準法の休業手当の支払義務の有無にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、事業主が支払った休業手当の額に応じて支払われる雇用調整助成金があり、助成率や上限額の引上げ等を実施しているところです。

これを活用することにより、事業主の皆様は、高率で休業手当を支払うことも可能であり、また、労働基準法の休業手当支払義務がある場合でも義務を履行できますので、まずは雇用調整助成金を最大限ご活用いただき、労働者に休業手当の支払をお願いいたします。

(以上)

 

全体としては曖昧さの残る表現ではありますが、『支給要件確認書における、使用者の「休業手当を払っていない」旨の記述や、労働者の「休業手当の支払を受けていない」旨の記述は、労働基準法第 26 条の休業手当の支払義務の有無の判断に影響することはありません。』という回答が登場したことにより、「助成金申請としての証明行為」と「法律上の休業手当支払義務」については、別問題であるとの認識が示されましたのは前進であるように思われます。

 

労働基準法第26条の休業手当の支払義務の議論自体はさておくとしても、労働者の生活保障優先で立法された制度ということですので、事実に反するものでない限りは、労働者の要請に協力するスタンスが望ましいと考えられます。

(なお、証明を拒否した場合は、事情聴取のため労働局から電話照会が入る場合があるとのことですので、見解が一致しないからといって証明拒否のような突き放した対応をすることは望ましくありません。)

 

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