GERBERA PARTNERSブログ

法人税|子会社へ使用人を役員として派遣する場合の「退職給与負担金」の取扱い

2016/05/02

Q 当社の使用人を、当社の100%子会社に代表取締役として出向させています。その場合の退職給与負担金の取扱いについて教えて下さい。

 

A 法令上、退職給与という条文の定義はありませんが、退職所得に該当する退職手当等とは、「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」とされています。そのため退職給与には、(1)給与の後払い、(2)在職中の功労に対する報奨、(3)退職後の生活安定のための賃金の性質があるとされています。

 

 また、「退職給与の額」は、退職者の退職時の給与の額に勤続年数に応じる支給倍率等を乗じて計算した金額とされるため、勤続年数が重要な要素となってきます。

 この勤続年数は、その出向者が出向元法人に入社した時から計算し、出向先法人での勤務年数を加算して出向元法人を退職するまでの期間の合計として計算します。そのため出向中の期間に対応する金額は、労務の提供を実際に受けていた出向先法人において負担することになります。

 この負担に関しては、出向元法人と出向先法人が分担して負担する場合と、出向元法人が全額負担する場合とがあります。

 

 出向先法人が、出向者に対して出向元法人が支給すべき退職給与の額に充てるため、あらかじめ定めた負担区分に基づき、当該出向者の出向期間に対応する退職給与の額として合理的に計算された金額を定期的に出向元法人に支出している場合には、その支出する金額は、たとえ当該出向者が出向先法人において役員となっているときであっても、その支出をする日の属する事業年度の損金の額に算入することができます。

 

 出向先法人のこの退職給与負担金の支出は、毎月及び毎事業年度等定期的に支出するものに限られ、任意の時期に支出するものは損金の額に算入することができませんので注意が必要です。

 なお、毎期の退職給与負担金の計算方法は、全ての出向先法人において、同一の計算基準で計算されたものでなければなりません。

 

 出向先法人が出向者に対して出向元法人が支給すべき退職給与の額のうちその出向期間に係る部分の金額の全部又は一部を負担しない場合においても、その負担しないことにつき相当な理由があるときは、出向元法人から出向先法人への贈与又は寄付があったものとして取り扱われることはありません。

 この場合の相当な理由とは、経営危機にある出向先法人に使用人を強制的に出向させ、出向先法人の業務の監督をさせている場合、出向元法人が計画している新規事業のために必要な技術の習得その他出向元法人の利益のために、出向させていることが明らかな場合、出向者の全体の勤務期間からみて、出向期間が極めて短い場合等が挙げられます。


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