GERBERA PARTNERSブログ

労働時間|電通事件に学ぶ 労働基準監督署のターゲットにならないポイント

2017/01/04

Q 当社は、人手不足で残業が多くなりやすく、労務管理に不安があります。電通事件のように、労働基準監督署のターゲットにならないように、できるところから対策を行っていきたいと思いますが、具体的な注意点はありますか?

 

A 電通事件をきっかけに、労働時間管理の問題が大きくクローズアップされ、企業側の対応が急務になっております。

電通事件後の傾向としまして、全国的に、次のような状況が見られます。

 

◆内部告発者の増加(従業員及びその家族、退職した元従業員など)

◆未払請求支援ビジネスの活発化(弁護士事務所、外部ユニオン)

◆労働基準監督署の調査の激化

 

企業側の防衛策としては、基本的な労務管理の水準を上げていくことはもちろんですが、下記の観点にご注意ください。

 

(1) 内部告発を防止する視点を持つ

 

 労働局や労働基準監督署の相談窓口に具体的な相談があった場合は、相当な確率で立入検査が実施されるようです。これは、厚生労働省の運営するポータルサイト(「こころの耳」など)に相談が寄せられた場合も同様です。無記名のメールや投稿でも、労働法違反が疑われる状況であれば、立入検査につながるケースがあるようです。

 

 ワンマン企業などに多いのですが、労務管理について、上司や管理部門に質問しにくい雰囲気になっていたり、それ自体がタブーになっていたりする場合は、社内に相談できず、社外に噴出するリスクが高くなっています。特に、在職中は我慢していた社員が、退職のタイミングで相談するケースが多いようです。

 

 くさいものにふたをするのではなく、従業員の質問や不満を社内で受け止め、話合いと交渉で解決する体制づくりが必要です。

 

(2) 管理監督者の内部告発は特に危険

 

 重要なポジションの管理監督者については、経営とのコミュニケーションを密にする必要があります。日本マクドナルドの「名ばかり管理職」事件(東京地判平20.1.28)では、店長という極めて重要なポジションにある管理監督者が訴えを起こしたため、大きな事件に発展しました。

 

幹部級の人材に不満があると、大きな経営リスクとなります。

未払残業請求が巨額になることはもちろんですが、重要な人材やノウハウの流出、社内不平不満の扇動、他の社員への波及など、重大なリスクになります。

 

(3)  36協定の限度時間をチェックしてください

 

 特別条項が80時間超になっている場合は、労働基準監督署から「自主点検表」によって自主点検を実施するように依頼書が届く場合があります。適切な対応をしない場合は、立入検査の対象になることがありますのでご注意ください。

 

 ただし、実態として80時間超になっているのに、協定書だけ書き変えたり、特別条項を削除するのは問題外です。隠れ違法残業になるだけで問題は解決しません。まずは、実態の残業削減に努力するしかありません。

 

(4) 残業のグレーゾーンの黙認をしない

 

前回のブログでも紹介しましたが、労働時間の管理責任は会社側にあります。

 

電通事件に学ぶ 労働時間の自己申告制は可能か?

 

 

 

 居残り残業の黙認している場合、労働時間か否かの「グレーゾーン時間」が発生します。会社が確認や証明できない場合は、残業時間として、事後的に請求される場合があります。

 

 会社を守るために、「労働時間」と「そうでない時間」の線引きは、しっかり行いましょう。居残り残業だけではなく、「勉強会」「ミーティング」「移動時間」「接待」「週末ゴルフ」なども要注意のグレー時間になります。

 

(5) 労働時間の二重管理を発生させない

 

a「タイムカードに記入される時刻」

b「パソコンのログインログアウトの時刻」「入退館記録の時刻」

 

aとbの時間に乖離が発生する場合があります。aが自己申告になっていたり、自主的な調整が行われているような場合です。

 

 労働基準監督署の調査では、こうした二重管理に着目して隠れ残業をあぶり出し、その差を調査し、場合によっては精算を求めるのは、常套的な手法になっています。

 

 二重管理状態が存在すること自体が重大なリスクになるというご認識をお持ちいただき、原因を取り除くように具体的な対策が必要です。

 

(6) 「家族の感情」への配慮と意識を持ってください

 

 長時間労働が当たり前になっていたり、残業代が未払になっている会社では、社員本人は我慢していても、家族は納得していないことが、しばしばあります。

 

 社員本人が退職したり、体調を崩したり、メンタルヘルスでダウンするような状況になりますと、家族の感情としては、到底容認できるものではありません。

 

 社員本人が言わなくても、家族が労働基準監督署へ相談したり、弁護士に相談して民事訴訟を提訴するケースが多くなっています。

 

 感情的な問題や長年の不信感が積み重なり、一切の妥協をせずに請求されるケースも多いようです。社員をおとなしく黙らせておけば、それで上手くいっているとタカをくくると、たいへん危険です。

 

 行政サイドの長時間労働に対する規制が急速に強化されています。また、ブラック企業に対する世間の風当たりも、ますます厳しいものになっています。

 

 近い将来、長時間労働を前提とするビジネスモデルを維持することは、ますます難しくなることが予想されます。さらに人材の採用が困難になることもあり、事業の継続性そのものの問題になっています。

 

 弊社では、上場準備やコンプライアンス対策をご希望のお客様を中心に、労働時間管理体制の監査、対策案の提案、精算や個別同意実務に関して、実務的なコンサルティングを実施しております。

 

 労働時間の問題に単純な解決策はございませんが、他社事例をもとに、着実に効果のあるご提案をさせていただいております。デリケートな問題ですので、まずは個別無料相談から状況をお伺いすることが可能です。問題が複雑化しますと、もはや金銭的な最終解決しかなくなります。そのような破局的な状況になる前に、まずはご相談いただければと思います。

 

 


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