2015/07/28
Q 先日、キャリアアップ助成金の増額が検討されているとの新聞報道が載っていました。当社でも申請にチャレンジしてみたいと思うのですが、手続が複雑で困っています。要件や手続について分かりやすく教えてもらえませんか?
A キャリアアップ助成金は、企業が自社で働いている非正規労働者(パート社員や契約社員など)を正社員に転換するなどの処遇改善を行った企業を支援する制度です。
転換には様々なパターンがありますが、一例として、有期雇用労働者を正社員転換した場合を考えてみます。社員一人あたりの助成額が、以前は40万円であったのですが、現在は予算措置が講じられ50万円になっています。(中小企業の場合の金額です)
この予算措置は、本来は平成28年3月末日までの特例措置だったのですが、現在この増額措置の恒久化が検討されております。
政府としては、労働者の正社員化を重点課題として、さらに推進していく方針ですので、キャリアアップ助成金もさらに拡大が検討されている模様です。
人手不足が深刻化するなかで、正社員転換制度やそれに関連する助成金が注目を浴びています。キャリアアップ助成金は、制度としては比較的シンプルなしくみではありますが、助成金特有の複雑な要件などがあり、行政の説明書を読んでも、少し難しく感じられる部分もあるようです。
今回は、助成金の申請について、要件面から整理してみたいと思いますので、自社に当てはめてチェックしてみてください。
<会社側の要件>
(1)雇用保険適用事業所の事業主であること。
(2)事業所ごとに「キャリアアップ計画書」「キャリアアップ管理者」を備えていること。(所定の様式でキャリアアップ計画を作成して、あらかじめ労働局長の確認を受けておくことが必要です。)
(3)正規転換規定を就業規則に定め、労働基準監督署に届出して、労働者に周知していること。
(4)支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること。(助成金受給目的での、一時的な導入ではいけません)
(5)正規転換日の前日から起算して6ヶ月前の日から1年を経過する日までの間に、当該事業所において、会社都合離職(解雇、退職勧奨など)が発生していないこと。
※雇止めが多いなどの場合も受給できない場合がありますので、ご注意ください。
(6)労働者本人の同意に基づく制度として運用していること。(助成金目的で会社が一方的に転換を命じることはできません。)
(7)正規転換した労働者に雇用保険と社会保険を適用していること。
<労働者側の要件>
(8)雇用される期間が、原則として6ヶ月以上の非正規労働者であること。
(9)正規労働者として雇用することを約して雇い入れられた者ではないこと。(採用時に口約束があった場合などは、後日の調査でトラブルになる可能性があります。)
(10)正規転換日から過去3年以内に、当該事業主のもとで正規雇用として雇用されていた者ではないこと。(過去に退職した者を非正規で再雇用した場合などはご注意ください。)
(11)支給申請日において在籍していること。
<欠格事由にご注意ください>
(12)不正受給をした事業主は受給できません。
(申請日から過去3年間)
(13)労働保険料を納入していない事業主は受給できません。
(14)労働関係法令の違反を行った事業主は受給できません。(申請日から過去1年間)
(15)性風俗関連営業または暴力団関係者は受給できません。
※上記は平成27年7月現在の内容です。
いかがでしょうか。公的な助成金というのは、要件が複雑になりがちなのですが、このように整理すると、自社でもチェックできるのではないでしょうか?
次回以降では、手続の流れと申請手続につきましても順次ご説明させていただきます。まずは、要件をチェックしていただき、正規転換について検討を進めてみてください。
弊社では、就業規則や人事評価制度の整備と合わせて、助成金についてのご相談やセミナー開催などを承っております。手続や運用も含め、お気軽にご相談ください。
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