Q、現在(2023年度)の中国での優遇税制について教えてください
A、優遇税制は、下記の11項目があります。項目ごとに案内します。
解説(公開日: 最終更新日: )
1 増値税小規模納税者は増値税を免税します。
【適用企業】
増値税小規模納税者。
【優遇対策】
2023年1月1日から2027年12月31日まで、月の売上高10万元以下(10万元含む)の増値税小規模納税者に対して、合計で月の売上高が10万元(四半期売上高が30万元を超えていない)を超えない場合、増値税が免除されます。
【適用条件】
- 1. 増値税小規模納税者に適用されます。
- 2. 小規模納税者が増値税の発生する販売等を実施し、月の売上高が10万元を超えたが、当期に発生した不働産販売の売上高を差し引いて10万元を超えない場合は、その貨物販売、労務、サービス、無形資産取得の売上高についての増値税を免除します。
- 3. 増値税差額課税政策を適用する小規模納税者は、差額後の売上高が上記条件を満たせば増値税免税政策を享受できます。
【政策根拠】
- 1.『財政部税務総局 増値税小規模納税者増値税減免等政策の明確化に関する公告』(2023年第1号)。
- 2.『国家税務総局 増値税小規模納税者増値税減免等政策徴収管理事項に関する公告』(2023年第1号)
- 3. 財政部税務総局2023年第13号
2 増値税小規模納税者は段階的に増値税を軽減します
【適用企業】
増値税小規模納税者
【優遇対策】
2023年1月1日から2027年12月31日まで、増値税小規模納税者の課税販売収入に対し、3%の徴収率を適用する部分は1%の徴収率に基づいて増値税を徴収する。
【適用条件】
増値税小規模納税者で3%の徴収率を適用する課税売上収入、増値税小規模納税者で3%の予納率を適用する予納増値税項目。
【政策根拠】
- 1.『財政部税務総局の増値税小規模納税者の増値税減免等政策の明確化に関する公告』(2023年第1号)
- 2. 財政部税務総局2023年第19号
3 小型微利企業法人所得税を減免します。
【適用企業】
小型微利企業 ※下記に説明の記載があります。
【優遇対策】
2023年1月1日から2024年12月31日まで、小型微利企業の年間課税所得額が300万元を超えない部分の25%を課税所得額とし、20%の税率で企業所得税を納付する。要するに、小型微利企業の年間課税所得額が300万元以内は5%(25%×20%)の税率になります。
【適用条件】
小型微利企業とは国家の非制限、非禁止の業種に従事し、且つ年間課税所得額が300万元を超えない、従業員数が300人を超えない、資産総額が5000万元を超えないなどの3つの条件に合致する企業です。従業員数には、企業と労働関係を構築した従業員数と、企業が受け入れた労務派遣用労働者数を含む。従業員数や資産総額の指標は、その企業の年間四半期平均値に基づいて確定する。具体的な計算式は下記の通りです。
四半期平均値=(四半期期初値+四半期期末値)÷2
年間四半期平均値=年間各四半期平均値の合計÷4
年中に開業または経営活動を終了する場合、その実際の経営期間を納税年度として上記の関連指標を確定する。
【政策根拠】
- 1.『国家税務総局の小型微利企業所得税優遇政策徴収管理問題に関する公告』(2022年第5号
- 2.「財政部税務総局の所得税優遇政策に関する公告」(2023年第6号)
- 3.『財政部税務総局の中小企業所得税優遇政策の更なる実施に関する公告』(2022年第13号)
4 失業保険、労災保険料率を段階的に下げる
【適用企業】
規定に従って社会保険を納付する会社
【優遇対策】
- 1. 2023年5月1日より、失業保険料率を段階的に1%に引き下げる政策を継続し、実施期間を2024年末まで延長する。省(区、市)の行政区域では、会社及び個人の費率は統一されなければならず、個人の料率は会社の料率を超えてはならない。
- 2. 2023年5月1日から、『国務院弁公庁の社会保険料率引き下げ総合案に関する通知』(国弁公庁発行第13号)の関連実施条件に基づき、労災保険料率を段階的に引き下げる政策を引き続き実施し、実施期間を2024年末まで延長する。
【適用条件】
労災保険の引き下げ政策は『国務院弁公庁の社会保険料率引き下げ総合方案の通知』(国弁公庁発行〔2019〕13号)の関連実施条件によって適用されます。
【政策根拠】
- 1.『国務院弁公庁の社会保険料率を下げる総合案の発行に関する通知』(国弁公庁〔2019〕13号)
- 2.『人力資源社会保障部財政部国家税務総局の失業保険、労災保険料率の段階的引き下げに関する問題に関する通知』(人社部発〔2023〕19号)
5 条件に満たす企業は障害者雇用保障金を一時的に免除されます
【適用企業】
条件を満たす企業
【優遇対策】
2020年1月1日から2027年12月31日まで、在職従業員数が30人(含む)以下の企業は、障害者雇用保障金を一時的に免除する。
【適用条件】
企業の総従業員数は30人(含む)以下です。
【政策根拠】
- 1.「財政部の障害者雇用保障金徴収政策の調整に関する公告」(2019年第98号)
- 2.「財政部の障害者雇用保障金優遇政策の継続実施に関する公告」(2023年第8号)
6 ハイテク企業と認定された文化企業は15%の税率で企業所得税を徴収する
【適用企業】
ハイテク企業と認定された文化企業
【優遇対策】
ハイテク企業と認定された文化企業に対して、15%の税率で企業所得税を徴収する。
【適用条件】
- 1. ハイテク企業とは、『国が重点的に支援するハイテク分野』内で、研究開発と技術成果の転化を継続的に行い、企業の核心的な自主知的財産権を形成し、それを基礎として経営活動を展開し、中国国内(香港、マカオ、台湾地区を含まない)に登録された居民企業です。
- 2. ハイテク企業は、各省(自治区、直轄市、計画単列市)の科学技術行政管理部門、同級財政、税務部門の連携により組み立てるハイテク企業認定管理機構からの認定をもらう必要がある。
- 3. 企業が認定を申請するには、設立登録から1年以上が必要です。
- 4. 企業は自主研究開発、譲り受け、贈与を受け、買収合併などの方式を通じて、その主たる製品(サービス)の核心技術に対し自主知的財産権の所有権を獲得する。
- 5. 企業の主たる製品(サービス)が『国が重点的に支援するハイテク分野』に規定された範囲に属する。
- 6. 企業が研究開発と関連技術革新活動に従事する技術職従業員が企業の当年総従業員数に占める割合は10%以上である。
- 7. 企業は直近3年間(実際の経営期間が3年未満の場合は実際の経営時間で計算)の研究開発費総額が同期の売上高総額に占める割合は相応の要求に合致する。
- 8. 直近1年間のハイテク製品(サービス)収入が企業の同期総収入に占める割合は60%以上である。
- 9. 企業の革新能力評価は相応の要求に合致する。
- 10.企業は申請する前1年間に重大な安全や品質事故、重大な環境違法行為が発生していない場合は申請することができます。
【政策根拠】
- 1.『中華人民共和国企業所得税法』第28条第2項
- 2.『中華人民共和国企業所得税法実施条例』第93条
- 3.『科学技術部財政部国家税務総局「ハイテク企業認定管理弁法」の改訂印刷配布に関する通知』(国科発火[2016]32号)
- 4.『科学技術部財政部国家税務総局「ハイテク企業認定管理業務ガイドライン」の改訂印刷配布に関する通知』(国科発火[2016]195号)
7 アニメソフトの輸出による増値税の免除
【適用企業】
アニメソフトを輸出する企業
【優遇対策】
アニメソフトの輸出は増値税を免除する。
【適用条件】
当該アニメーションソフトウェアは下記の規定になります。
- 1. ソフトウェア製品とは情報処理プログラム及び関連文書及とデータです。ソフトウェア製品には、コンピュータソフトウェア製品、情報システム、組み込みソフトウェア製品が含まれます。
- 2. ソフトウェア産業主管部門が発行した「ソフトウェア製品登録証明書」または著作権行政管理部門が発行した「コンピュータソフトウェア著作権登録証明書」を取得が必要。
【政策根拠】
- 1.「アニメ漫画産業増値税政策の継続に関する財政部税務総局の通知」(財税〔2018〕38号)
- 2.『財政部国家税務総局ソフトウェア製品増値税政策に関する通知』(財税〔2011〕100号)
8 国内企業と個人が海外で放送映画・テレビ番組の放送サービスを提供することにより増値税を免除する
【適用企業】
海外で放送映画・テレビ番組(作品)の放送サービスを提供する国内の企業と個人。
【優遇対策】
国内部門と個人が海外で提供する放送映画・テレビ番組(作品)の放送サービスは、増値税を免除する。
【適用条件】
- 1. 放送映画・テレビ番組(作品)の放送サービスとは、映画館、劇場、ビデオホール及びその他の場所に映画やテレビ番組(作品)を放送し、ラジオ、テレビ局、衛星通信、インターネット、ケーブルテレビなどの無線又は有線装置を通じて放送映画・テレビ番組(作品)を放送する業務活動です。
- 2. 海外で提供される放送映画番組(作品)の放送サービスとは、海外の映画館、劇場、ビデオホール、その他の場所で放送映画番組(作品)を放送することです。
- 3. 国内の放送局、テレビ局、衛星通信、インターネット、ケーブルテレビなどの無線又は有線装置を通じて海外に放送映像番組を放送することは、海外で提供される放送映像番組(作品)の放送サービスではありません。
【政策根拠】
- 1.『財政部国家税務総局の営業税から増値税への課税試行の全面的な推進に関する通知』(財税〔2016〕36号)
- 2.『国家税務総局の「営業税から増値税への課税クロスボーダー行為に関する増値税免税管理方法(試行)」の公告』(2016年第29号)
9 完全に海外で消費する放送映画・テレビ番組(作品)の制作と発行サービスを海外企業に提供するために増値税ゼロ税率を適用する
【適用企業】
完全に海外で消費する放送映画・テレビ番組(作品)の制作と発行サービスを海外企業に提供する国内企業と個人
【優遇対策】
国内企業と個人は海外企業に完全に海外で消費する放送映画・テレビ番組(作品)の制作と発行サービスを提供し、増値税のゼロ税率を適用する。
【適用条件】
- 1. ラジオ映画番組(作品)制作サービスとは、特集(特別番組)、コラム、バラエティ、スポーツ、アニメ、ラジオドラマ、ドラマ、映画などのラジオ映画番組と作品制作を行うサービスです。具体的には、放送映画・テレビ番組や作品に関する企画、採集、撮影、録音、音声・ビデオ文字画像素材制作、シーンレイアウト、後期のクリップ、翻訳(コンパイル)、字幕制作、オープニング、エンディング、片花制作、特効制作、映画修復、編集、権利確定などの業務活動が含まれる。
- 2. 放送映画・テレビ番組(作品)の発行サービスとは、映画館、ラジオ局、テレビ局、ウェブサイトなどの企業と個人に対して放送映画・テレビ番組(作品)の発行及びスポーツ試合などの活動の報道及び放映権の譲渡を行う業務活動です。
- 3. 納税者は増値税ゼロ税率の適用を放棄し、免税を選択するか、規定に従って増値税を納付することを選択できます。増値税ゼロ税率の適用を放棄した後、36ヶ月以内に増値税ゼロ税率の適用を申請することはできません。
【政策根拠】
『財政部国家税務総局の営業税から増値税への課税試行の全面的な推進に関する通知』(財税〔2016〕36号)
10 国外投資者が利益配当で再投資する場合、源泉所得税を暫定で徴収しない
【適用主体】
条件を満たす国外投資者
【優遇対策】
2018年1月1日から、国外投資者の配当利益による直接投資に係る源泉徴収所得税を暫定で徴収しない
【適用条件】
- 1. 国内直接投資の範囲は禁止していない外商投資の項目と分野である。
- 2. 国外投資者が配当された利益で行う直接投資は、国外投資者が配当された利益で行う増資、新設、持分買収などの権益性投資行為を含まるが、上場会社の株式を追加、移転増加、買収することは包括されない(条件に符合する戦略投資を除く)。具体的には下記になります。
- (1)中国国内の居住者企業の払込資本金或は資本準備金を追加および移転増加。
- (2)中国国内で新規居民企業に投資する。
- (3)非関連会社から中国国内居民企業の株式を買収する。
- (4)財政部、税務総局が規定するその他の方式。
- 3. 国外投資者が配当で得た利益は、中国国内の居民企業が投資者むけに既に実現した留保利益を実際に分配して形成した株式利息、配当金などの権益性投資収益に属する。
- 4. 国外投資者が直接投資に用いる利益を現金で支払う場合、関連資金は利益分配する企業の口座から直接に被投資企業或は株式持分譲渡先の口座に振り込み、直接投資する前に国内外の他の口座を経由してはならない。
国外投資者が直接投投資者に用いる利益を実物、有価証券などの非現金形式で支払う場合、関連資産の所有権は直接利益分配企業から被投資企業或は株式持分譲渡先に移転され、直接投資を行う前に他の企業、個人が代わりに保有したり或は一時的に保有したりしてはならない。
- 5. 「国外投資者」とは、「企業所得税法」第3条第3項の規定を適用する非居住企業を指す。「中国国内住民企業」とは、法に基づいて中国国内で設立された住民企業を指す。
【政策根拠】
- 1.『財政部税務総局国家発展改革委員会商務部の国外投資家の利益分配のための直接投資の仮徴収に関する事前所得税政策の適用範囲の拡大に関する通知』(財税〔2018〕102号)
- 2.「利益分配のための海外投資家の直接投資の拡大に関する国家税務総局の事前提出所得税政策の適用範囲の徴収の見合わせに関する問題に関する公告」(2018年第53号)
11 抹消登記前の留保増値税仕入税額は、新規納税者に繰り越して控除を継続することができる
【適用主体】
すべての資産、負債、労働力を一括して譲渡し、登記抹消を行う増値税一般納税者
【優遇対策】
増値税一般納税者が資産再編の過程で、すべての資産、負債、労働力を他の増値税一般納税者に一括して譲渡し、手続きに従って抹消税務登記を行う場合、その抹消登記を行う前に留保の仕入税額は新規納税者に繰り越して控除を継続することができる。
【適用条件】
- 1. 増値税一般納税者は資産再編の過程で、すべての資産、負債と労働力を一括して譲渡する。
- 2. 抹消登記を行う前に留保の仕入税額が存在する。
【政策根拠】
「国家税務総局納税者資産再編増値税引当額処理に関する問題に関する公告」(2012年第55号)
今回は、現在の優遇税制についてご案内いたしました。中国は、コロナ時に企業に大きな負担を課したので、現在は優遇税制や社会保険の免除などを行っています。中国経済の状況下では優遇税制は継続される可能性が高いです。弊社では、現在の中国経済状況をふまえ、売上金額に応じた会計費用に変更しております。月次会計を1000元から対応させていただいております。中国法人設立および中国会計に関してのご相談はhttp://business.chinafocus.jp/まで、お問合せください。
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