2024/02/06
A、シンガポールと香港は、アジア太平洋地域でビジネスを展開するための重要な拠点として知られていますが、それぞれ異なるビジネス環境を提供しています。以下に、シンガポールと香港のそれぞれのメリットとデメリットを挙げるとともに、法人設立や口座開設について解説させていただきます。
まず、シンガポールと香港の国土、人口、産業などの面での違いは以下の通りです。
項目 | シンガポール | 香港 |
国土面積 | 716.1㎢ | 1,106㎢ |
人口 (2022年推定値) | 約 590万人 | 約 757万人 |
人口密度 | 約 8,260人/㎢ | 約 6,845人/㎢ |
会社の数(2021年) | 約 27万社 | 約 139万社 |
年間の国家予算 | 約 106.9億シンガポールドル →1兆1652億円(2024年1月) | 約 585.5億香港ドル →1兆892億円(2024年1月) |
言語 | 英語、マレー語、中国語、タミル語 | 広東語、英語、普通話、その他 |
通貨 | シンガポールドル (SGD) 1SGD=109円(2024年1月) | 香港ドル (HKD) 1HKD=18.6円(2024年1月) |
国の形態 | 国家 | 中華人民共和国の特別行政区 |
主要な産業 | 金融、製造業、サービス業 | 金融、製造業、サービス業 |
時間帯 | 日本の1時間遅れ(SGT, UTC+8) | 日本の1時間遅れ(HKT, UTC+8) |
国連人間開発指数 (2021) | 9位 | 22位 |
シンガポールは、法的な安定性と信頼性が高く、ビジネスを行う上での法的なリスクが比較的低いです。シンガポールは、アジア太平洋地域の中で主要な金融ハブの一つであり、銀行業務や金融取引が活発です。また、シンガポールは多文化な社会であり、異なる文化的背景を持つ人々が共存しています。これは国際的なビジネス展開に適しています。
シンガポールは、高度なインフラストラクチャを有し、ビジネス運営に必要な施設やサービスが整っています。
ただし、シンガポールのデメリットとして挙げられるのが生活費と厳格な法規制です。シンガポールの生活費は比較的高いため、駐在員や従業員の確保にコストがかかる可能性があります。また、シンガポールは法的に厳格な規制があります。これはビジネスの運営において遵守が求められますが、同時に煩雑に感じることもあります。
香港は、比較的法的制約が緩やかで、ビジネスの柔軟性があります。法的手続きもとてもシンプルです。香港は、法人税がアジアで最も低く、また付加価値税や消費税も存在しないため、税制の優遇があります。また、香港はアジア太平洋地域において主要な交通ハブであり、ビジネスの拠点としてのアクセスが便利です。特に中国本土との貿易や人的交流は盛んで、貿易上のメリット(CEPA協定)も享受できます。
ただし、香港のデメリットとしては、近年、香港は政治的な不安定さや抗議活動が起きており、これがビジネスに悪影響を与える可能性があります。また、香港の政治情勢の変化により、一部の国際的な企業は香港の信頼性に懸念を抱くようになっています。
以上がシンガポールと香港の一般的な違いです。シンガポールと香港のどちらを選ぶかは、具体的なビジネスの戦略や要件、業界によっても異なるため、検討を重ねて意思決定することが重要です。
私どもガルベラ・パートナーズグループは、シンガポールと香港のいずれにも現地法人をおき、現地の会計士などの専門家が会計や税制その他の法律面を含め、現地法人の運営をワンストップでサポートしています。
以下に、シンガポールと香港の会計、税制、社会保障制度の比較について掲載いたします。
(2024年1月現在)
項目 | シンガポール | 香港 |
税制 | 法人税率: 17% ただし、部分免税やタックスリベートにより課税所得が低ければ税率は6~8%台。 | 法人税率: 16.5% ただし、課税所得200万香港ドルまでは軽減税率8.25%が適用される。 |
個人所得税: 最高22% | 個人所得税: 最高17% | |
消費税: 7%(Goods and Services Tax) | 消費税: なし | |
会計制度 | シンガポール会計基準(SFRS)を採用 | 香港会計基準(HKFRS)を採用 |
社会保険制度 | 雇用主と従業員の間で社会保険料を分担 | 強制的な社会保険制度はない |
メディシッシュ・ソーシャル・セキュリティ(MediShield)などの特定の医療保険が存在 | 社会保険はないが、従業員は香港強制退職積立金制度(MPF)に加入 |
シンガポールも香港も、法人設立の料金や手続方法は似ています。法人を設立するのは1ヶ月もかかりませんが、そのあと法人の銀行口座を開設するのに時間を要します。年々口座開設の難易度が上がっているため、他の会計事務所やコンサルティング会社では「法人設立後の口座開設は自社でやってください」と言うところもあります。
項目 | シンガポール | 香港 |
設立日数 | 約10日 | 約10日 |
役 員 | 1人以上、日本在住OK | 1人以上、日本在住OK |
役員の永住権 | 永住権を持つ役員が必要 | 永住権要件なし |
株 主 | 日本在住OK | 日本在住OK |
口座開設 | 約1か月間 | 約2か月間 |
上記の面談 | 原則現地、例外オンライン | 原則現地、ネット口座はオンライン |
当社では、法人設立のご依頼をいただいた際に、なによりも法人口座を開設できるかどうかを最も気にします。そして、法人口座が開設できない可能性がある場合はいかにお客様がお急ぎであろうとそのリスクをお伝えするとともに、口座開設ができる可能性が90%以上にならない限りは現地法人の設立業務を受託しません。法人は設立したけれど口座が開設できませんというのは、お客様に対してもご迷惑をおかけするからです。
シンガポールも香港も、現地法人の法人口座の開設は当社にとっては何度も何度もサポートしているため、難易度は高くはありません。当社のこれまでの経験がお役に立つのではと考えております。ただし、単に日本だけで完結するビジネスの収益を海外法人に移転するというのは、さすがに口座開設はしにくいので、なにかしら海外ビジネスに関わっていることは求められます。シンガポールまたは香港での口座開設については、ぜひ当社へご相談ください。
このたびは弊社ブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。
弊社は東京、大阪、福岡、名古屋に事務所を構える専門家集団です。グループ内には税理士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人が同じ屋号で事務所を構え、そして海外7か国に8つの現地法人を有します。貴社の海外進出においてお困りのことがございましたら、なんなりとご相談ください。
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