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中国|中国情報:中国企業監査・経費旅費処理について

2025/04/11

Q、中国現地で、経費や旅費の不正が起こらない体制構築に教えてください。

A、中国における企業監査において、「経費・旅費」の管理体制は極めて重要な監査項目の一つです。これは、企業の内部統制やコンプライアンス体制の健全性を測る上で、日常的かつ多発する支出行動に対する管理・運用が適切であるかどうかを確認する指標となるためです。本稿では、中国現地法人において実施される経費・旅費の監査チェックポイントをもとに、どのような点が重要視されるのか、また企業が注意すべき具体的な事項について整理して解説します。

 

解説(公開日:2025/04/11)

   

中国企業監査・経費旅費処理について

 

1. 経費・旅費に関する規程・マニュアル類の整備

監査の出発点として確認されるのが、「経費及び旅費に関する規程類・マニュアル類の整備状況」です。多くの中国現地法人では、日本本社からのルールをそのまま導入するケースも見られますが、現地法や商習慣に即した内容となっているか、実務に即して適切に運用されているかが問われます。たとえば、社内規定(就業規則や雇用契約書、アサインメントレター等)が中国語で整備され、従業員に周知されているかが確認されます。また、マニュアルに則った申請・承認プロセスが徹底されているかも評価対象です。

 

2. 立替・仮払のバランスと管理体制

次に注目されるのが、「立替金」や「仮払金」の管理状況です。中国では、従業員が一時的に経費を立替えるケースも少なくありませんが、その金額が多額に及ぶ場合、企業の資金運用面や従業員負担の観点から課題となり得ます。逆に、仮払いの金額が過大な場合は、資金の不正利用や横領リスクもはらんでいるため、金額の妥当性、使用用途の適正性、精算タイミングなどを含めたチェックが必要です。これらの実態は、経理担当者へのインタビューや帳票の確認を通じて行われます。

 

3. 決裁権限の明確化と承認プロセスの実態

経費精算における「決裁者」が明確であり、かつ承認プロセスが適切に行われているかも大きな監査ポイントです。中国企業では、特定の役職者にのみ決裁権限があると定められている場合でも、実務上は権限外の承認や「口頭承認」に頼るケースが散見されます。このような運用が放置されていると、不正や誤謬が発生する温床となりかねません。監査では、実際に使用された経費申請書類を通じて、誰がどのような方法で承認しているかを確認し、権限規程との整合性を検証します。

 

4. 証憑の有無とその確認方法

「証憑の有無」もまた、監査人が注視する点です。中国では税務上、発票(正式なレシート)の提示が求められるため、経費精算においても証憑の提出は基本です。しかし、やむを得ず証憑がない場合(例えばタクシー利用など)には、その理由書や上長による確認記録の添付が必須となります。監査では、このような例外的経費処理がどれほどあるか、またその都度適切な記録がなされているかを確認します。証憑のない経費に対しても、社内で妥当性を十分に検証する体制が構築されているかが問われます。

 

5. 実態と規程の乖離

監査の過程でしばしば浮かび上がるのが、「規程と実態の乖離」です。たとえ整ったルールが存在していても、実務で従業員がその通りに運用していない場合、内部統制上のリスクが高まります。たとえば、規程では上長の承認が必要であるにもかかわらず、実際には承認印のみで済ませていたり、経費内容の詳細な確認が省略されていたりすることがあります。こうした乖離を見つけるために、監査人は複数の現場担当者にヒアリングを実施し、ルールが形式的なものとなっていないかを丹念に確認します。

 

6. 改善提案とフォローアップ

監査結果に基づいて、企業は内部統制の改善策を講じることが求められます。たとえば、経費申請の電子化、承認フローの自動化、証憑画像のクラウド保存、定期的な従業員教育などが有効な手段です。中国ではデジタルツールの普及が進んでいることから、スマートフォンアプリを使った経費申請やワークフロー管理の導入も選択肢となります。監査後には、改善状況を再確認するフォローアップ監査も実施されることが一般的です。

以上のように、中国における企業監査において経費・旅費に関する項目は、単なる経理処理の確認にとどまらず、企業全体の内部統制やリスク管理体制の成熟度を測る重要な指標となります。日常的な経費処理こそが企業文化や管理意識の表れとも言えるため、形式面だけでなく運用実態にも深く目を向け、継続的な改善を図ることが肝要です。

 

今回は、中国現地法人の監査項目の経費旅費の処理についてご案内させていただきました。中国法人設立および中国会計税務・監査に関してのご相談はhttp://business.chinafocus.jp/まで、お問合せください。

 

ご案内

ガルベラ・パートナーズでは、中国進出から会計税務・労務・中国での生活サポートなどをワンストップでサポートしています。具体的なサービスといたしましては、設立・会計以外に①法律関係(裁判、労務訴訟対応、会社内法律顧問)②物流関係(輸入、輸出際の税関規定)③工場アテンド(中国国内工場探し)④展示会関係(ブースの構築、人員配置など)⑤代理店探し(中国の販路拡大)⑥取引調査(財務データ調査、信用調査)を行っています。

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