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中国|中国情報:中国現地法人の清算について

2025/07/04

Q、中国現地法人の清算を検討しています。清算について教えてください。

     

A、現在の中国現地法人の清算方法とスケジュールについてご案内いたします。

 

解説(公開日:2025/07/04)

 

中国現地法人の清算方法とスケジュール

近年、中国における経済環境や規制の変化により、現地法人の撤退・閉鎖を検討する日系企業が増加しています。中国での現地法人の閉鎖、すなわち「清算」は、日本と比較しても煩雑で、関係機関の手続きが多岐にわたるのが特徴です。本稿では、中国現地法人の清算方法とその具体的なスケジュールについて、実際の清算業務の流れをもとに解説します。

 

1. 清算手続きの全体像

中国で法人を閉鎖するには、税務局、市場監督管理局(旧工商局)、外貨管理局、銀行など複数の関係機関に対して、段階的かつ厳格に手続きを進める必要があります。手続きには、分公司(支店)と総公司(本店)で異なる流れが存在し、それぞれに個別の手続きが求められます。

以下では、分公司の抹消手続きと総公司の清算手続きに分けて説明します。

 

2. 分公司の抹消手続き

分公司(支店)の抹消手続きは、主に以下の流れで進められます。

 

(1)市場監督管理局での登記抹消

最初のステップは、分公司が設立されていた市場監督管理局に対して、法人登記の抹消を申請します。これにより、分公司としての法的な資格が無効となります。

 

(2)各登記部門での記録抹消

続いて、税務機関や社会保険部門など、各登記部門に登録されていた分公司の記録を順次抹消していきます。これらの記録が残っていると、将来的に法的責任を問われる可能性があるため、慎重に処理する必要があります。

この分公司抹消に要する期間は、おおよそ営業日換算で10日から15日程度と見積もられます。

 

3. 総公司の清算手続き

総公司、すなわち中国現地法人の本体については、さらに多段階の手続きを踏む必要があります。

 

(1)税務局での税金清算

法人の活動停止前には、まず税務局にて未納税金の申告・納付を完了させる必要があります。これには30営業日ほどが見込まれます。

 

(2)国家信息公示システムでの公告

税金清算と並行して、国家信息公示システムを通じて法人の解散に関する公告を行います。この公告は、25日間(暦日)にわたり公開されます。公告期間中は、利害関係者から異議がないことを確認するための期間でもあります。

 

(3)市場監督管理局での登記抹消

公告期間終了後、法人登記の最終的な抹消を市場監督管理局へ申請します。これに要する時間は約5営業日です。

 

(4)外貨管理局での抹消

登記抹消後は、外貨関連の記録を外貨管理局にて抹消します。これは10営業日を要します。

 

(5)外貨口座の解約・抹消

外貨管理局の抹消手続きが完了すると、外貨口座の解約手続きを行うことができます。これもおおよそ10営業日程度を見込んでおく必要があります。

 

(6)一般口座・基本口座などの銀行口座抹消

最後に、人民元建ての基本口座や一般口座を含むすべての銀行口座を閉鎖します。これには約30営業日を要し、手続きには法定代表者のパスポート原本が必要となります。

 

4. 清算全体のスケジュール感

分公司と総公司の清算を併せて進める場合、すべての手続きが完了するまでには最低でも3〜4ヶ月程度を要することが一般的です。特に税務清算や公告期間、銀行口座の抹消には相応の時間を見込む必要があります。

清算業務は、単に「登記を消す」だけではなく、各部門との折衝、証明書の取得、書類作成など、専門的な知識と実務経験が求められます。また、手続きを怠った場合や不備がある場合には、法的責任やペナルティが科される可能性もあるため、注意が必要です。

 

5. 実務上の注意点

法定代表者の関与 銀行口座の抹消など、一部手続きには法定代表者本人のパスポート原本が必要となります。
公告期間の管理 公告は中国全土で公開されるため、適切なタイミングで実施し、異議申し立てがないか注意深く確認することが重要です。
延滞金と罰金への注意 社会保険法第86条にもある通り、社会保険料や税の滞納がある場合には延滞金や罰金が課されるため、精算前のチェックが欠かせません。
 

6. 専門家の活用

清算手続きは複雑かつ時間がかかるため、現地の専門家や代行業者を活用することが推奨されます。関係書類の作成や各部門との交渉をスムーズに進めるためにも、経験豊富なパートナーの協力が不可欠です。

 

まとめ

中国現地法人の清算は、法的・実務的に多くの手続きを必要とする業務であり、時間と労力を要します。事前の十分な準備と専門家の活用により、スムーズかつトラブルのない清算を実現することが可能です。企業は清算スケジュールを正確に把握し、適切なリスク管理を行いながら、計画的な撤退を進めることが求められます。

 

今回は、中国現地法人の清算方法およびスケジュールついてご案内いたしました。清算以外にも、法人の休眠等もございます。中国現地法人の運営コストの削減や清算・休眠等に関してのご相談はhttp://business.chinafocus.jp/まで、お問合せください。

 

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