2014/07/19
Q このたび、東南アジアに現地法人を設立したので社員を赴任させようと考えています。給料をどのように支払えばいいのか、基本的な情報をまったく持っていないのですが、簡単に教えてもらえませんか?
A 当社では、年間50社以上の海外駐在員規程を作成していますが、いつも最初に行うのは、給与決定方式を決めるということです。給与決定方式は、大きく分けて「購買力補償方式」「併用方式」「別建方式」の3種類があります。それぞれ、以下に簡単にご案内させていただきます。
1.購買力補償方式
大手外資系コンサルティング会社が提供する「生計率表」や「生計費指数」を購入し、赴任直前の生活水準相当額に、赴任先の都市ごとに算出された「生計費指数」と「為替レート」をかけて海外払いの基本給を決定する方式です。
2.併用方式
国内勤務時と同等の処遇を海外でも補償するため、赴任直前の手取額をそのまま海外基本給として使用する方式です。一般的には、赴任先がどこであれ平等に設定されますが、国別(都市別)の特別手当を加算する場合もあります。
3.別建方式
国内勤務者の給与とは全く関係なく、赴任先に応じて新たな給与体系を構築し、赴任直前の給与とは別建てで個別に決定する方式です。
これらのうち、購買力補償方式はアジア諸国で使用するには向いていません。(理由は別の機会に詳述します。)アジア進出が多い昨今では、購買力補償方式の使用を控える企業が大半です。また、別建方式については、そもそも採用する企業はほとんどありません。
したがって、併用方式が労使双方にとって分かりやすく、国ごとの不公平感も出ないと考えます。
上記の給与決定方式を確定したのち、単身者か家族帯同者かによって手当を設けたり、生活環境に応じてハードシップ手当を設けたりしています。
これら給与決定方式や手当について、ちょうどみずほ銀行の月刊誌に記事を寄稿していますので、そちらをご覧いただければと思います。