2014/09/05
Q 後継者へのバトンタッチについて、代表権はそろそろ息子へ譲ろうと思っていますが、それだけで大丈夫でしょうか?
A 最初に引継ぎ方(バトンタッチ)の大前提として、「所有」と「経営」という2つの側面を理解しなければなりません。
まず、「所有」のほうですが、これは「株式」のことを指します。株式会社で頂点に君臨するのは株主です。この株主という立場を後継者へ引き継ぐことが最も重要です。
次に、「経営」について、日々の会社運営は「取締役」が行います。しかし、「取締役」というのは「株主」から委任を受けて経営をしているので、経論を言えばいつでも辞めさせられる可能性がある、ということです。(株主の50%以上の普通決議で可能となります。定款に別途定めをおいている場合はそれに従います。また、解任にあたるだけの正当な理由が必要となります。)
上記からも分かるように、実質的な会社の支配者は「株主」です。代表取締役でもなければ、執行役員、監査役でもありません。株主が最重要事項の決定権者です。場合によっては、お子様には「株式」を引継がせて、実際の経営は別の誰かにやってもらう、ということもあり得ます。
親族でない別の方に「経営」をやってもらう場合には、その方の頑張り対しては「役員報酬」や「役員賞与」で応えてあげましょう。そうすることでその方は益々頑張りますし、会社にも利益が残ります。結果、株式の価値を上昇させ、その株式を持っているお子様の立派な財産となるからです。会社の解散権も「株主」が持っていますので、これも時と場合によりますが、どうしてもお金が必要になった場合は会社を解散させて残余財産をお子様は受け取ればいいのです。
事業承継は税金だけの問題ではありません。むしろ、税金対策は2番目といっても過言ではないでしょう。皆様の生活を支えているのは「会社そのもの」です。「会社」が利益の源泉なのです。目先の税金対策だけに捉われ、株式を分散したり、無理にお子様に経営をやらせてしまうことで、母体が揺らぎ、利益の源泉を失ってしまわないように、このような案件に長けた専門家へ相談し、事前にしっかり準備しましょう。