GERBERA PARTNERSブログ

中国|中国の現地法人の撤退(清算)手続きについて

2020/07/01

Q、当社は卸売業・貿易業を営んでおり、現在、上海に現地法人を置いています。新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響もあって、将来的な不安もあり、撤退や休眠も視野に入れています。現地法人の清算方法について教えていただけませんでしょうか。

    A、中国での撤退は現地法人の会社清算を意味するかと思いますが、清算の流れはどの国も同じで、まずは税金のとりっぱぐれがないかをチェックされて、それが完了すれば清算の登記手続きに移行します。ライセンスなどがある場合は、清算登記の前に抹消をすることになります。         

解説(公開日:  最終更新日:

 

■ はじめに

以下に中国現地法人の清算手続きについて解説をさせていただきますが、前提として日本本社から100%出資している現地法人を想定していますので予めご了承ください。中国合弁会社の場合は少し手続きが複雑になりますので、詳細は当社へお尋ねください。

 

なお、100%独資会社であっても、口座に資金が残っているときは海外送金が難しい場合もあるため、必ず抹消手続き前に専門家へご相談ください。この海外送金は非常に重要なポイントになり、あとから振り返ることができないほど大切な事項となります。

 

■ 清算報告書の作成と税務の精算

中国現地法人の清算手続きにあたっては、登記の抹消手続きに平行して、財務関係も整理をしていく必要があります。すなわち、中国監査法人または会計師事務所(日本とちが会計師といいます)に依頼し、清算報告書を作成しなければなりません。これは中国公認会計士の独占業務となります。

 

清算報告の手続きは、中国現地法人の経営年数や会社規模、純資産の金額、滞納税金の有無などにより難易度や中国税務局の対応期間が異なります。これまでに10数回通ったこともあるくらいで、税務局は出ていく外資企業に対しては税金のとりっぱぐれがないかどうかを非常にナイーブに調査します。ただし、中国現地法人が当面赤字であって、税金の徴収がないと判断される場合はややスムーズになります。

 

■ 中国現地法人の原則的な清算登記手続きの流れ

中国現地法人の清算手続きは、中国会社法上の取り決めに沿って実施します。清算手続き委の流れをざっと記載しますと、通常、清算委員会のメンバーを工業局で登録し、公告を開始するとともに、並行して会計税務上の清算を行い、資産負債を整理するとともに、中国税務局に支払うべき税金を支払い、税務登記の抹消を行います。そのあと残余財産を支払って外貨管理局の登記を抹消後に口座を閉鎖し、そして許認可の抹消、工商行政管理局の登記の抹消(営業許可証の抹消)へと進めていきます。

 

もう少し具体的に記載しますと、中国公認会計士が当年の清算報告書を作成し、これを中国の外資系企業に対応する機関である中国商務委員会に認可申請をします。清算委員会備案を登録し、公告を掲載したあとで、税務監査の対応を終えれば、税務局の登記抹消へと進めることができます。

 

税務局さえクリアしたら、あとは財政局、外貨管理局の登記抹消へと歩を進めます。外貨管理局をクリアしてから、外貨口座を閉鎖することができるようになります。そして基本口座も閉鎖し、統計局、工商行政管理局の登録が抹消され、最後に公安局の会社員登録が抹消されて清算手続きを終えることになります。

 

中国現地法人に許認可等がある場合は、許認可に応じて抹消の難易度は異なりますが、それらも抹消手続きに時間が必要になります。たとえば貿易のライセンスがある場合は、税関登記などを抹消しなければならず、3つの抹消が増えるため、約1ヶ月かかることになります。

 

中国現地法人の清算手続きは、原則として最低でも7か月、長くて1年必要となります。なお、当局との抹消交渉が長引いてしまうと清算期間が12か月を過ぎてしまうこともあり、その際は再度法定監査を受ける必要がありますのでご注意ください。ただし、後記の簡易清算という方法もあり、要件に合致すればこの方法を採用できるため、その場合は5か月ほどで清算手続きを終えることもできます。

 

また、中国現地法人にまだ従業員との労働契約が残っている場合は、その労働契約の解除に関しては別のブログにご案内しますが、とにかく従業員がいらっしゃる場合は清算の前に真っ先に対応しなければなりません。

 

■ 中国現地法人の簡易清算手続きとは

最近の中小企業の現地法人の清算にあたっては、上記のような原則的な手続きではなく、もう少し簡易的な手続きを取ることも可能となってまいりました。もし簡易清算手続きを採用できるのであれば、手続期間は着手から抹消までで約4か月半ほどで、手続きコストもぐっと下がります。

 

簡易清算の要件として、以下の2点のいずれもがクリアしていることとされています。

  1. ・中国現地法人の税務申告に問題ないがないこと
  2. ・中国現地法人が工商行政管理局のブラックリストに入っていないこと
 

■ 具体的な簡易清算手続きのスケジュール

それでは中国現地法人が前項の要件を満たして簡易清算ができるとなった場合の具体的なスケジュールをご案内してまいります。

 

たとえば6月末日に「中国現地法人をなるべく早く清算しよう」と思い立ったとします。そうすると、7月中には税務申告手続きを進めていくことになります。なお、月次の増値税の税務申告については、6月分は必要なので、7月15日までに提出しなければなりませんが、これ以外に年間の税務申告については1か月以内に進めることになります。

 

税務局とやりとりを進めて、税金の精算だけでなく、使用していない領収書を回収し、ネットを通じて、または現地の所轄税務局へ出頭して、増値税を申告するとともに、企業所得税の精算申告、個人所得税の申告などを進めます。そしてこれらはだいたい7月末に完了することになります。

 

なにもなければ、中国税務局の抹消許可が出て、そのあと公示システムに入力をして公示 期間(25日間)を経てから公示中に却下されない限り、公示終了後に営業許可証を抹消することができます。抹消までは7営業日かかるとされています。

 

その後、外資専門の中国商務委員会に抹消届を提出し、中国外貨管理局の登記抹消を終えてから中国の金融機関の外貨口座、資本金口座、一般口座、社会保険口座、基本口座などの口座の抹消を進めます。これらは一度にできないので、徐々に進めていくことになります。なお、口座の閉鎖には法定代表人にご準備いただく書類もありますので、事前に金融機関にお尋ねください。

 

私どもガルベラ・パートナーズグループは、日本国内では税理士法人・社会保険労務士法人・司法書士法人・行政書士法人が一堂に集まり、海外では中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、アメリカなど9つの現地法人を展開し、日本企業の海外進出を、調査やマッチングから、設立・税務・労務・法務のあらゆる面でサポートし、クライアント企業の海外での成功を後押ししています。

 

やむなく中国からの撤退・清算をお考えの場合は、ぜひご相談ください。リーズナブルで、最短のプランをご提案申し上げます。

[中国進出サポート]中国現地法人の撤退・清算・休眠

 

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また、中国以外にも現地法人がありますので、海外法人の会計税務、労務、法務についての情報収集にぜひ弊社をご活用ください。

 

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ガルベラ・パートナーズでは、日本企業の中国進出をワンストップでサポートしています。

現在、ガルベラ中国法人に所属する会計士人材のうち約10名は日本語を話します。また、労務においては長年メガバンクのメールマガジンにも寄稿し、クライアント企業の中国における労務管理をサポートしています。

中国現地法人設立、中国での会計業務、給与計算、労働契約書や就業規則の作成、ビザ取得代行など、中国ビジネスでお困りの企業様は、ぜひご相談ください。

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