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中国|中国のハラスメント防止に関する法律と実務

2021/07/28

Q、中国においても日本と同じように、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント等に関する決まりはありますか?

A、セクシュアルハラスメントについては、複数の法律や地方法規において規制されています。パワーハラスメントについては、直接的に規制する法律はありませんが、実務上は対応が必要です。

 

解説(公開日:2021/07/28  最終更新日:2021/08/19 )

 

1.セクシュアルハラスメント

中国のハラスメント防止に関する法律は、主に「セクシュアルハラスメント」(中国語では「性騒擾」といいます)を対象としています。

 

(1)セクシュアルハラスメントの定義

中国の法律に、セクシュアルハラスメントに関する明確な定義はありませんが、「中華人民共和国民法典」(以下、民法典といいます)の規定等により、セクシュアルハラスメントとは、言語、文字、画像、身体行為などの方法で、他人の意思に反して実施され、他人の尊厳を傷つける性的な表現や暗示、性的挑発、性的暴力などの行為であると言えます。

 

(2)法律の概要

中国では、2021年1月に施行された「民法典」の「人格権」にセクシュアルハラスメントについて規定されました。「民法典」が施行される前から「中華人民共和国婦女権益保障法」や「中華人民共和国女性従業員労働保護特別規定」等において、セクシュアルハラスメントに関する内容が規定されていました。そのほか複数の地方法規においてもセクシュアルハラスメント防止について規定されています。

「婦女権益保障法」は、初めてセクシュアルハラスメント禁止を明記した法律です。「女性従業員労働保護特別規定」は、セクシュアルハラスメントに関する会社の責任について明記しています。「民法典」では、セクシュアルハラスメントの特徴、形態、予防、処置などについて規定しています。「民法典」におけるセクシュアルハラスメントは「婦女権益保障法」とは異なり、女性のみを対象とはしていません。

セクシャルハラスメントが行われた場合の処罰については、「治安管理処罰法」や「刑法」に定められています。

 

(3)企業の行うべき、セクシュアルハラスメント防止策

「民法典」第1010条により、企業にはセクシュアルハラスメントを防止、阻止する法的義務があります。「民法典」に規定された法的義務を履行するために、規則制度にセクシュアルハラスメントの認定、予防措置、苦情受付および調査、処罰措置などセクシュアルハラスメントを防止、制止する規定を明確にしなくてはなりません。

対応策として、セクシュアルハラスメントの苦情を速やかに処理するために専門の部署を社内に設けること、セクシュアルハラスメントを予防しやすい職場環境を作るために閉鎖的な職場空間を開放的なオフィスに改善することなどが挙げられます。また、企業は、従業員がセクシュアルハラスメントに応じなかったために、減給、降格などの被害を受けたことが明らかになった場合は、すぐに救済措置を取る必要があります。

 

2.パワーハラスメント

パワーハラスメント(中国語では「職権騒擾」、「職場暴力」などといいます)については中国では正式な定義が形成されておらず、中国の法律法規にはパワーハラスメントに関する規定もありません。このため、直接的にパワーハラスメントを禁止したり、企業にパワーハラスメントの防止措置義務を課す法律はありません。しかし、日本のパワーハラスメントに該当するような行動、たとえば、職場において、侮辱、暴言、脅迫などの精神的攻撃、意図的に無理な仕事をさせること、職場内での無視・仲間外れなどを行えば、結果として民法や刑法で罰せられる行為ともなりえます。

 

3.まとめ

中国においてもセクシュアルハラスメントを中心に従業員の人権を尊重し、法制化する社会的な流れが促進されています。ハラスメントがない職場づくりは企業の生産性向上といった観点からも、大切であることはいうまでもありません。今後も、従業員の人権意識の高まりやワークライフバランスにうまく対応してくことが必要です。

 

本稿は、みずほ銀行が発行するメールマガジン「Mizuho China Monthly 2021年7月号」に寄稿させていただいたものを再編集したものです。「Mizuho China Monthly 2021年7月号」の記事では、法令の条文やトラブル例、マタニティハラスメントについても記載しています。ぜひご参照ください。

MIZUHO CHINA MONTHLY レポート(みずほ銀行)

 

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