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中国|中国情報:中国企業監査:IT管理プロセスについて

2025/04/24

Q、中国現地での、情報資産管理について教えてください。

   

A、近年の急速なデジタル化に伴い、企業の業務遂行におけるIT依存度は飛躍的に高まっています。企業の基幹業務を支える情報システムは、会計、購買、生産、販売、人事といった各業務に直結しており、その管理の適否は企業の信頼性と安定運営を左右する重要な要素となっています。今回は、企業監査を元にIT管理プロセスについてご案内させていただきます。

 

解説(公開日:2025/04/24)

 

中国企業監査・IT管理プロセスについて

中国における企業監査でも、IT管理プロセスに対する監査項目は年々拡大し、特に近年ではサイバーセキュリティ法、個人情報保護法(PIPL)など法令遵守の観点も含め、より厳格な対応が求められています。以下では、現地法人の監査において確認されるITプロセス管理の主要なチェックポイントをもとに、企業が構築すべき統制体制の在り方について解説します。

 

1. ITに関する規程・マニュアルの整備と周知

まず監査で確認されるのは、「ITに関する基本規程やマニュアルの整備状況」です。企業の情報システムの運用や保守をルール化するためには、「情報システム管理規程」「セキュリティポリシー」「端末管理方針」「ID・パスワード管理規程」などの文書が必要不可欠です。これらが整備されていない、または古いまま放置されている場合、属人的運用に陥る危険性があります。

また、文書が存在するだけでなく、それが現地語(中国語)で明文化されており、従業員やシステム管理者に周知されているかどうかが、統制の実効性を左右する要素となります。

 

2. システム統制の運用状況と役割分担

情報システムを活用するうえで、業務とシステムの整合性、操作ルールの徹底、システム障害時の対応フローなど、「統制の実運用」が極めて重要です。

監査では、システム管理担当者やユーザー部門へのヒアリングを通じて、以下の点が確認されます

  1. ・システム利用に関するガイドラインの存在
  2. ・ID・アクセス権限の申請および承認プロセス
  3. ・障害発生時の記録および対応フローの有無
  4. ・管理者と利用者の職務分離(相互牽制の確保)
 

3. システム部門の人員体制とスキル

IT管理体制を構築するうえでは、適切な人員配置とスキルレベルの確保も重要です。監査では、システム部門の人員表が確認され、担当者の数や経験年数、保有資格などがチェックされます。IT関連業務を兼務で対応しているケースでは、緊急時の対応力や長期的なシステム改善への対応力に不安が残るとされることがあります。

IT管理体制を構築するうえでは、適切な人員配置とスキルレベルの確保も重要です。監査では、システム部門の人員表が確認され、担当者の数や経験年数、保有資格などがチェックされます。IT関連業務を兼務で対応しているケースでは、緊急時の対応力や長期的なシステム改善への対応力に不安が残るとされることがあります。

 

4. システム間の連携性とデータ整合性

IT監査では、業務システム間の「連携の妥当性」や「データの一貫性」も確認されます。たとえば、販売管理システムと会計システムが連動していない場合、二重入力や転記ミスのリスクが高まり、不正や誤謬を誘発する可能性があります。

このようなリスクを回避するためには、以下のような対応が求められます

  1. ・システム間のインターフェース設計書の整備
  2. ・自動連携の設定と定期的な稼働確認
  3. ・手入力が介在する部分における二重チェック体制の構築
 

5. アクセス権限とID管理体制

システムへのアクセス権限管理は、情報漏えいや内部不正を防止するうえでの最重要ポイントです。監査では、ID付与・変更・削除の手続きの記録、退職者アカウントの無効化、共有アカウントの有無とその管理体制、アクセスログの保存状況などが詳細に確認されます。

一般的には以下の統制が求められます

  1. ・権限付与の際の上長承認フロー
  2. ・権限変更・削除の記録保存
  3. ・操作ログの取得と定期レビュー
  4. ・システム管理者とユーザーの明確な分離
 

6. データの保全、バックアップ、障害時対応

ITリスク管理の根幹として、データのバックアップ体制や障害発生時の対応フローが整備されているかも重要な評価項目です。

監査では、以下のような体制が確認されます。

  1. ・定期的なバックアップ実施(フル・差分など)
  2. ・バックアップデータの保管場所とセキュリティ
  3. ・復旧テスト(リストア)の定期的な実施
  4. ・システム障害時の初動マニュアルの有無
  5. ・災害対応・BCPとの整合性
 

おわりに

ITプロセス管理は、単なるシステム運用の話ではなく、企業の内部統制全体に密接に関わる重要な管理領域です。中国においては、法制度・商習慣の違いにより、ガバナンスの実効性を確保するうえで、より丁寧かつ現場に即した管理が求められます。

ITに関する統制が不十分な企業は、情報漏えい、不正アクセス、業務停滞といった経営上のリスクにさらされることとなり、ひいては企業価値の毀損につながりかねません。監査の指摘事項を一過性の対応にとどめず、継続的な改善と業務への落とし込みを図ることが、真に統制されたIT運用体制への第一歩となります。

 

今回は、中国現地法人の監査項目のIT管理プロセスについてご案内させていただきました。中国法人設立および中国会計税務・監査に関してのご相談はhttp://business.chinafocus.jp/まで、お問合せください。

 

ご案内

ガルベラ・パートナーズでは、中国進出から会計税務・労務・中国での生活サポートなどをワンストップでサポートしています。具体的なサービスといたしましては、設立・会計以外に①法律関係(裁判、労務訴訟対応、会社内法律顧問)②物流関係(輸入、輸出際の税関規定)③工場アテンド(中国国内工場探し)④展示会関係(ブースの構築、人員配置など)⑤代理店探し(中国の販路拡大)⑥取引調査(財務データ調査、信用調査)を行っています。

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