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中国|中国情報:中国企業監査:不正・不祥事防止の体制構築について

2025/04/28

Q、中国現地法人での、人為的な不正や不祥事を未然に防ぐ体制構築について教えてください。

   

A、グローバル企業にとって、海外現地法人における「不正・不祥事リスクの管理」は、経営の健全性やグループ全体の信用維持に直結する重要なテーマです。特に中国においては、商習慣や文化的背景、法制度の違いから、日本本社が想定しない不正リスクが潜在しており、その早期把握と防止策の構築が求められています。今回は、企業監査のチェック項目に基づき、中国企業における不正防止体制のあり方について解説します。

 

解説(公開日:2025/04/28)

 

中国企業監査:不正・不祥事の防止について

中国現地法人を対象とする企業監査では、不正・不祥事の発生有無のみならず、その予防体制、マネジメントのリスク意識、内部通報制度の整備状況など、多角的な観点から評価が行われます。

 

1. 過去の不正・不祥事の有無と対応状況

まず確認されるのは、「これまでに不正や不祥事が発生していないか」、また「発生していた場合にどのように対処されたか」という点です。過去の記録がある場合には、それが正式に社内で報告されていたか、再発防止の対応が講じられていたかが評価の対象となります。

特に以下のような点がチェックされます

  1. ・不正・不祥事の発生履歴(会計不正、横領、贈収賄、パワハラ等)
  2. ・発生後の社内報告とその承認ルートの有無
  3. ・処分・対応記録の保管状況
  4. ・再発防止策(規程改定、再教育、業務分掌の見直し等)
 

2. マネジメントによる不正リスクの認識と対応

不正・不祥事の防止において最も重要な要素の一つは、「経営層自身がリスクを認識し、自ら関与して対策を講じているかどうか」です。現地マネジメントがリスクに無関心、または形式的にしか対処していない場合、不正の温床となる可能性があります。

監査では、以下の観点からマネジメントの関与度が評価されます

  1. ・コンプライアンス委員会の定期開催とその議題
  2. ・不正リスク評価(リスクアセスメント)の実施有無
  3. ・リスク軽減措置の計画と進捗確認
  4. ・マネジメントから現場社員へのメッセージ発信
 

3. 内部通報制度の整備と実効性

不正の早期発見・抑止のために極めて有効とされるのが、「内部通報制度(ホットライン)」の整備です。特に、従業員が安心して通報できる環境が整っているかどうかが、制度の実効性を大きく左右します。

主な監査チェックポイントは以下の通りです

  1. ・内部通報制度に関する規程の整備と社内周知
  2. ・通報の受付方法(匿名・実名、社内・外部窓口)
  3. ・通報後の調査・報告・フィードバック体制
  4. ・通報者の保護措置(不利益取扱いの禁止)
 

4. 教育・研修と従業員意識の醸成

制度や体制を整えるだけでは不十分であり、従業員一人ひとりの「不正は許されない」という意識の醸成が不可欠です。そのためには、定期的な研修やeラーニング、社内ポスター掲示などの工夫が求められます。

監査で確認される主な教育活動は以下の通りです

  1. ・年次コンプライアンス研修の実施状況
  2. ・新入社員・管理職向けの特別教育の有無
  3. ・教育内容の文書化と出席記録
  4. ・従業員アンケート等による意識調査
 

5. リスクの兆候を捉える仕組みと対応力

最後に、不正を未然に防ぐためには、「異常な兆候を見逃さない体制」が求められます。たとえば、同一社員による異常な仕入処理、突発的な現金支出、出張旅費の不自然な増加など、兆候を早期に察知し、分析できる仕組みが必要です。

監査の観点では以下が重要とされます

  1. ・データ分析や内部監査による兆候検出
  2. ・会計仕訳のダブルチェック体制
  3. ・職務分掌による牽制の実効性
  4. ・発見後の即時対応・報告体制
 

おわりに

中国における不正・不祥事の防止は、制度の輸入ではなく、現地の文化・組織・法制度を理解したうえで、実効性ある体制を構築することが鍵となります。監査におけるチェックは、その体制が「機能しているか」を問うものであり、形式的な整備では十分とはいえません。

企業にとって重要なのは、「起きたら対処」ではなく、「起こさないための仕組み」と「兆候を見逃さない感度」を組織全体に浸透させることです。

 

今回は、中国現地法人の監査項目の不正・不祥事防止の体制構築についてご案内させていただきました。中国法人設立および中国会計税務・監査に関してのご相談は http://business.chinafocus.jp/まで、お問合せください。

 

ご案内

ガルベラ・パートナーズでは、中国進出から会計税務・労務・中国での生活サポートなどをワンストップでサポートしています。具体的なサービスといたしましては、設立・会計以外に①法律関係(裁判、労務訴訟対応、会社内法律顧問)②物流関係(輸入、輸出際の税関規定)③工場アテンド(中国国内工場探し)④展示会関係(ブースの構築、人員配置など)⑤代理店探し(中国の販路拡大)⑥取引調査(財務データ調査、信用調査)を行っています。

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