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中国|中国情報:中国企業監査:コンプライアンス強化について

2025/05/01

Q、中国現地法人におけるコンプライアンス体制の整備は、企業監査の観点からどのような点が重視されるのでしょうか?

   

A、企業がグローバルに事業を展開する中で、各国の法令を正しく理解し、これを適切に遵守することは、持続的な経営の大前提です。特に法制度が頻繁に変化し、行政指導や規制が厳しい中国においては、現地法人が「法令順守(コンプライアンス)」の仕組みをいかに整備・運用しているかが、重要になります。中国現地法人に対する企業監査において確認される「法令順守」の主なチェックポイントを整理し、企業が構築すべき実効性あるコンプライアンス体制について解説します。

 

解説(公開日:2025/05/01)

 

中国企業監査・法令順守について

 

1. 法令の把握と規程類への反映

まず重要な前提として、中国における企業活動では、労働法、会社法、税務法、データ保護関連法など、複数の法令が複雑に関与しています。これらの法令の改正動向を常に把握し、それを社内の規程や業務運用に適切に反映できているかが、法令順守の出発点です。

監査においては、以下のような観点から確認が行われます

  1. ・適用法令を把握・管理する体制(法務部門またはコンプライアンス委員会)の有無
  2. ・法改正時の社内展開プロセス(改訂された就業規則や雇用契約書の更新)
  3. ・法令情報の収集元(現地弁護士、商工会、行政通達等)
 

2. コンプライアンス体制の整備と運用

法令の把握と同様に重要なのが、社内におけるコンプライアンス体制の構築です。これは単に規程を整備するだけでなく、それを日常業務に落とし込み、従業員の意識として根付かせることが求められます。

監査では、以下の点が確認されます

  1. ・コンプライアンス委員会またはそれに準ずる組織の設置
  2. ・年次または定期的なコンプライアンス教育の実施
  3. ・違反事例の有無と再発防止策の検討記録
  4. ・内部通報制度や懲戒処分の明文化と運用状況
 

3. 外部指摘に対する対応履歴と改善措置

過去に税務当局や労働監督機関から指摘を受けた履歴がある企業では、その後の改善状況が厳しくチェックされます。改善対応が不十分である場合、同じ違反が繰り返されていると見なされ、行政処分や信頼性評価の低下につながる恐れがあります。

監査では、以下が確認されます

  1. ・指摘事項の記録と是正対応の報告書
  2. ・改善後の再発防止策(プロセス見直し、教育徹底)
  3. ・法定文書の整備・保管状況(就業規則、契約書、行政通知など)
 

4. 反社会的勢力との関係遮断

日本企業においては「反社会的勢力との関係遮断」は基本方針とされていますが、中国においてもこの点は重要なコンプライアンス項目となります。特に中国では「地元勢力」との関係構築が暗黙のうちに行われるケースもあり、企業としての一貫した姿勢が求められます。

監査では以下のような対応が確認されます

  1. ・契約締結前の取引先調査(反社チェック)
  2. ・リスク取引先リストの作成と定期的更新
  3. ・反社会的勢力排除条項の契約書への盛り込み
  4. ・従業員向けの教育研修内容
 

5. 現地専門家(弁護士・顧問)の活用状況

中国における法務リスクは、法令の曖昧さや執行の地域差によって予測が困難であることから、現地の法律専門家と連携した体制が不可欠です。監査では、企業がどのように専門家と関係を築き、実務に活用しているかが確認されます。

たとえば、

  1. ・顧問弁護士契約の締結有無と活用頻度
  2. ・法改正時のセミナーやレターの取得
  3. ・トラブル発生時の対応記録と専門家関与状況
 

おわりに

中国で事業を行う企業にとって、「法令順守」は単なる遵法精神にとどまらず、事業の安定性・継続性に直結する重要なマネジメント課題です。法制度が複雑でかつ変化の早い中国においては、最新の法的要件を反映したルール整備、継続的な教育体制、専門家との連携を通じて、実効性あるコンプライアンス体制を構築することが不可欠です。

監査という視点を通じて、自社の法令順守体制を客観的に見直すことは、潜在的なリスクを早期に発見し、社会的信頼を高めるための絶好の機会でもあります。今後も企業は、形式的な規程整備を超えた「運用の実効性」に目を向け、コンプライアンス文化の定着を目指すべきでしょう。

 

今回は、中国現地法人の監査項目の法令順守についてご案内させていただきました。中国法人設立および中国会計税務・監査に関してのご相談はhttp://business.chinafocus.jp/まで、お問合せください。

 

ご案内

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