2014/07/16
Q 中国では、現地法人を設立する代わりに、駐在員事務所を置く企業も多いと聞きます。現地法人とは何が違うのでしょうか?どのような役割を担っているのでしょうか?
A 中国に進出する外資企業の中には、中国国内で本格的な生産や販売活動を行う前に駐在員事務所を開設し、本社製品の紹介や市場調査などの準備的な活動を行うという形態が散見されます。
駐在員事務所の開設や閉鎖は現地法人より簡単です。また、本社からの経費送金を受けて、情報提供や市場調査などの補助的な活動を行うだけですので、組織の管理や運営実務も比較的単純です。そのため、中国におけるビジネス経験の浅い企業が、本格的に中国へ進出する前の予備段階として、市場情報の獲得・人材の発見・中国ビジネス制度の調査を担うために設立される場合が多いです。
ただし、駐在員事務所の活動内容は限定されています。販売、契約、輸出入代金の決済、商品の宣伝など、一切の営業活動を行ってはならないという制限があります。そのため一般的に、中国でビジネスの経験を積み、本格的な経済活動を行うことを決定した場合には、駐在員事務所から現地法人への転換を図る必要が出てきます。
しかし、中国では駐在員事務所を現地法人に組織変更することはできないため、駐在員事務所とは別に新たに現地法人を設立しなければなりません。そして、駐在員事務所が不要となればそちらは閉鎖することとなり、登記や設立に費やす時間やコストは、日本とは比較にならないほどのものとなることも考えておかなければなりません。