2014/07/23
Q 中国で設立された駐在員事務所は、販売、契約、輸出入代金の決済、商品の宣伝などの営業活動を行えないので売上が発生しませんが、税金はどのように徴収されますか?
A 駐在員事務所は、収益獲得行為を認められていないため、企業所得税と営業税を納める義務はないのでは?というご質問をいただきます。
しかし1980年代中盤より、一部の駐在員事務所の活動内容が補助的な活動の範囲を超えているということで、みなし課税が開始され、現在では大部分の駐在員事務所が課税対象となっています。
駐在員事務所の課税方法には、「実質所得課税」、「みなし利益率による課税」、「経費課税」の3種類がありますが、最も広く使われているのが「経費課税」方式です。
経費課税とは、駐在員事務所の経費額に基づいて、一定のみなし利益を算定して納税額を確定する方法で、具体的には以下のステップで税額を算出します。
例)駐在員事務所の経費総額を85万元とした場合
(1)経費総額を85%で割戻し、みなし売上高を算定する。
⇒ 85万元(経費総額)÷85%=100万元(みなし売上高)
(2)みなし売上高に5%を乗じ、営業税を算定する。
⇒ 100万元×5%=5万元(営業税)
(3)みなし売上高から、営業税と経費総額を控除し、みなし課税価格を算出する。
⇒ 100万元-5万元-85万元(経費総額)=10万元(みなし課税価格)
(4)みなし課税価格に企業所得税率25%を乗じて企業所得税を算出する。
⇒ 10万元×25%(企業所得税率)=2.5万元(企業所得税)
以上のように、85万元の経費が発生する駐在員事務所では、経費課税方式により、5万元の営業税と2.5万元の企業所得税が課税されます。(実際には、営業税に係る付帯税等も課税されます。)