2015/01/21
Q 輸出加工を行うため、ベトナムへの進出を検討しています。進出先について、ハノイとホーチミンが考えられますが、これら2都市のメリット・デメリットを教えてください。
A かつてベトナム戦争において、南北両陣営の拠点となったハノイとサイゴン(現ホーチミン)ですが、北ベトナムが勝利したことにより、ホーチミンからは南ベトナムの富裕層が相当数米国など海外に亡命しました。聞くところによると、これら海外への亡命者からベトナムにいる親族に仕送りされる金額は、現在のベトナムの年間国家予算の5分の1ほどにのぼるとのことで、その中心がホーチミンだそうです。
ベトナム戦争までは南のホーチミンのほうが都市開発が進んでいましたが、戦後は首都であるハノイに政府機能が集中し、都市開発はハノイが先行されました。しかし、ハノイに比べて倍ほどの人口を抱えるホーチミンは、上述した資金流入の影響もあり、政府の思惑とは裏腹に発展し続けました。ちょうど江戸時代の日本でいうところの江戸と大阪のようになっており、北のハノイが将軍のお膝元であるのに対して、南のホーチミンは商人の街といったイメージです。
日系企業の進出の経緯を見ていると、ハノイは電気・電子の大手製造業が進出している例が多く、その結果、下請けの部品工場も進出が進みました。ハノイに進出することのメリットは、政治の中心であるとともに、部品調達先の中国広東省からの距離の近さも挙げられます。深セン・香港からは海運でも陸送でも2日でハノイに到着します。これに対して、ホーチミンは4日かかります。このリードタイムがハノイ進出に拍車をかけたのは間違いないと思われます。
上記の理由で、ハノイの工業団地は大企業が中心に進出した結果、賃料はホーチミンよりも高くなり、その状況は今も続いています。ただし、ハナム省のドンバン工業団地などは企業誘致に出遅れたこともあり、随分家賃を下げて外国企業を誘致しているところもありますので、場所にこだわらないのであれば、ホーチミンと同じくらいのコストで済むところもあります。
また、ハノイが大企業中心であるのに対して、ホーチミンは中小企業中心と言われます。ベトナムは韓国企業と台湾企業の進出が顕著で、韓国企業は日系企業の10倍ほどが進出していると言われています。これら韓国企業や台湾企業は小さな会社が多く、ホーチミンにも多く進出しています。
ホーチミンは香港とシンガポールの線をひいたちょうど真ん中くらいに位置することから、シンガポール企業も多く進出しています。よって、日系大手のお膝元であるハノイと、海外中小企業が集中するホーチミンといった対照的な位置づけとなっています。
気候についても大きな差があります。ハノイには四季がありますが、ホーチミンは常夏です。ハノイの冬は5度くらいにもなるので、ホーチミンだけを経験した人がハノイに冬に行くときに、半袖で過ごせると思ってしまい、現地に到着して驚くというケースもよくあります。
上記以外にも、ハノイとホーチミンのいずれに拠点を置くかは、業種によって様々な理由があります。また別の機会にご紹介させていただきたいと思います。
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