2016/04/20
Q ベトナムで現地法人設立の予定です。ベトナム人スタッフ採用にあたり、ベトナムの定年、最低賃金、雇用形態、試用期間について教えてください。
A ベトナム改正労働法は2012年6月に制定され、2013年5月1日より施行されています。
社会主義国であるベトナムでは、労働者保護の目的から労働法が策定されており、日本と同様に性別・人種などの差別を行わないことを根本原理としています。
(1) ベトナムの定年年齢について
定年は、男性60歳、女性55歳です。危険な仕事や国境地域で働いている場合は、別の定めがあります。その他、2015年7月に施行された政令により、一部女性幹部と一部の公務員の定年年齢が引き上げられ、最大5年、男性65歳、女性60歳を超えないこととされています。
(2) ベトナムの最低賃金について
最低賃金は、地域別に政令により定められています。原則として最低年1回、ベトナム政府より最低賃金が発表されます。
2016年1月1日に発表された最低賃金は以下の通りです。
第1地域:3,100,000~3,500,000VND
第2地域:2,750,000~3,100,000VND
第3地域:2,400,000~2,700,000VND
第4地域:2,150,000~2,400,000VND
※ホーチミンは第1地域に該当します。
基本給は、最低賃金以下に設定ができません。その上、労働者が専門学校、短期大学、大学卒業の場合は、基本給は「最低賃金+(最低賃金×7%」以上で設定をする必要があります。
これまで、社会保険料は基本給のみを基数として算定されていましたので基本給を低く設定しているケースも見られましたが、2016年1月1日の社会保険法の改正により、手当の一部も社会保険料の基数に含まれることとなりました。2018年からは基本給+手当の全てが社会保険の基数とされる予定となっています。
(3) ベトナムの雇用形態について
雇用形態は、「12ヶ月未満の雇用」「12ヶ月以上36ヶ月以内の雇用」「無期雇用」の3種類があります。有期雇用の雇用契約は、2回までしか更新をすることができないことになっており、以降も継続して雇用する場合は、無期雇用として雇用することが義務付けられています。
ベトナムで社員を雇用する際には、書面で雇用契約書を作成し、締結する必要があり、雇用期間が明記されます。
終身雇用という概念がないベトナムでは、雇用される側も雇用する側も有期での契約を望みますので、長く働いてほしい労働者の契約期間を決める際には、2回までしか更新できないことを念頭においておく必要があります。
(4) ベトナムの試用期間について
社員を雇用する際の試用期間は、法律で許される範囲内で設定できます。試用期間を設ける場合、雇用契約を締結するタイミングは、一般的には試用期間終了後、正式に雇用契約締結となります。
試用期間中は、オファーレターに雇用者と労働者がサインをして試用契約とするか、試用期間の契約書を作成して締結します。
試用期間の長さは、職務の性質によって異なり、期間の延長は認められません。その他、季節的な業務の労働者には、試用期間を設けることができません。
試用期間は以下の通りです。
・高い専門または技術レベルを要する職位の業務 : 60日以内
・中間の専門もしくは技術レベルを要する職位または、技術ワーカー及び専門人員の業務 : 30日以内
・その他の業務 : 6営業日以内
試用期間中の給与は、労働法では「同種の賃金」の85%以上とされています。法的には、必ずしも「正式に採用する際の賃金」の85%以上である必要はありませんが、一般的には「正式に採用する際の賃金」の85%以上としているケースが多いです。
その他、労働者のモチベーションをあげるために試用期間中も「正式に採用する際の賃金」を100%支給するケースも多々あります。
試用期間中の扱いに違反した場合は、罰金も課せられるため注意が必要です。
※上記は2016年4月現在の情報です。現地法令の改正や運用の変更がありますので、現地専門家等に必ずご確認ください。
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