2016/09/14
Q ベトナムの人材マネジメントにおいて、地域による違いなど、注意点はありますか?
A 今回は、ベトナム人材マネジメントについて、地域の違いを少し触れたいと思います。
ベトナムには首都(政治の中心)ハノイと、商業の発展が著しいホーチミンが代表的な都市としてあげられます。そして近年注目されているのが日本からの直行便も出ている中部の都市ダナンです。ダナン市は観光業をはじめIT業への支援も積極的で人件費もハノイ、ホーチミンに比べ安価なベトナム第三の都市として日系企業の進出も盛んになっています。
今回、ハノイ在住9年、奥様がベトナム人のS.Aさんと会い、ハノイ人の特徴を伺ってみました。「北部ハノイのベトナム人は、南部に比べると、多少、計画性があり、将来を考え生活しているようです。もちろん日本人ほどではないのですが、南部ホーチミンに比べると堅実なようです。」とのことでした。
自分の生活(衣食住)には極力生活費を抑え、金額の大小はさておき貯蓄をし、テト(旧正月)での帰省の際に、多くのお土産を購入して帰省をするのだとのことです。帰省の際にお土産を購入するのは南部でもよく聞く話ではあったが、貯蓄、計画性といった部分はハノイ(北部)で顕著であるとのことです。
また、別の日系企業の社長のお話ですと、北部ハノイはマネジメントがしやすく、集団行動に強いとの特徴があるようです。権威になびきやすく、トップダウンの組織図になじみやすいという点で、日本人に近いとのことでした。
逆に南部の人はフラットな組織の中での個人行動が得意のようです。仕事の仕方も異なり、ボトムアップ的な働き方を好み、明るくクリエイティブだが集団行動に弱いとも言われます。
地域による違いは、ベトナムにも存在するため、人材マネジメントの一つの参考にはなるかと思います。
また、ホーチミンで懇意にしている日本語学校のベトナム人社長のお話ですが、南部でもメコンデルタ地域の人はさらに楽観的で、努力や苦労をすることをあまり好まないとの話でした。そして自社の社員の面接では出身地のみならず、両親の仕事はもちろん、兄弟、親族の仕事も必ず確認しているとのことです。
日本でも同郷や出身学校が一緒であると親近感が沸き、海外でも多くの日本人による県人会や大学のOB会が存在しますが、ベトナムにおいても同様で、地域、出身などを意識するような集団心理なのではないでしょうか。
進出先を選ぶうえでも、その地域との相性はとても重要です。
前提として、市場調査やF/S、競合、価格、収益、生産性、優遇税制、立地(工場など)など様々な要素を加味して進出地域を選定することになります。ただし、客観的、定量データだけでなく、定性面の肌感覚、相性のようなものも忘れてはいけない部分であると思います。
今回、ベトナムをよりよく知ってもらえる本を2つほどご紹介させて頂きます。「アジアの隼」「天の方舟」です。現在のベトナムより数十年も前のベトナムを題材した経済小説ではありますが、ベトナム国の表も裏も知るきっかけになり、あわせてリアルな歴史も少し垣間見ることができると思います。
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