2016/05/11
Q 海外駐在員の安全対策を検討しています。本社管理部門として、ガイドラインやマニュアルを作成する場合のポイントを教えてください。
A 前回は、海外安全対策の基本となる情報収集について、ご紹介いたしました。
海外駐在員の安全対策「治安」「事故」「テロ」(①情報収集編)
今回は、ガイドライン、マニュアル作成の流れをご説明します。
ご認識のとおり、海外の安全対策は、無数のリスク要因があり、あれもこれもと考えるうちに、悩むばかりで何も作業が進まない、ということがよくあります。
まずは、根幹となる考え方をしっかり確認して、個別各論については、後から肉付けしていく方法がよろしいかと思います。
安全対策に、最初から完璧はありません。改訂を重ねながら、自社オリジナルを作成していくのが正しい形と言えるでしょう。
(1) 他社動向について
アンケート調査によれば各企業による海外安全対策の実施状況は以下のとおりです。(「労政時報 海外勤務者の安全対策の実態」)
【 海外での緊急事態に備えて実施している対策(複数回答)】
ⅰ安否確認の体制整備 59.0%
ⅱ 危機管理マニュアルの作成 43.0%
ⅲ社内・社外への情報発信の体制整備 41.0%
ⅳ 特に実施していない 23.0%
海外勤務者の安全対策については、各企業の海外進出の状況により大きく異なりますので、一般的なひな形は存在しません。公的機関の情報提供をもとに、ガイドラインを作成し、必要に応じて個別論点をマニュアルとして整備することを推奨します。
(2) ガイドライン作成例
ⅰ 平時の情報収集
◆ 海外勤務者は、日本国外務省または現地日本大使館、その他公的機関等の情報を活用して、平素より安全情報の収集に努めるものとする。
◆ 本社担当者は、日本国外務省または現地日本大使館、その他公的機関等の情報を活用して、自社の進出地域についての安全情報を収集し、必要に応じて海外勤務者との連絡を行うものとする。状況に変化がある場合は、速やかに本社上長または現地拠点責任者に報告し、広く情報共有を図るものとする。
ⅱ平時の安全対策
◆ 海外勤務者は、自社マニュアルまたは公的機関から発行されるマニュアル等を活用し、職場の安全管理ルールのみならず、住宅管理、交通、外出、通信手段等日常生活においても十分な安全対策を行うものとする。
◆ 本社担当者は、海外勤務者が十分な安全対策を実施しているか適宜確認を行い、必要な措置を講ずるものとする。
ⅲ 非常時の安否確認
◆ 非常時に備えて、海外勤務者(および帯同家族)と現地拠点責任者の連絡手段を二以上確保するものとし、連絡ルールを定めるものとする。
◆ 非常時に備えて、本社と現地拠点の連絡手段を二以上確保するものとし、連絡ルールを定めるものとする。
◆ 各担当者は適宜、連絡手段または連絡ルールの有効性を確認するため、訓練等を行い、改善に努めるものとする。
ⅳ 有事の際の対処について
◆ 非常事態が発生した場合には、所定の連絡ルールに従い、安否確認および情報収集を行うものとする。
◆ 本社および現地拠点に○○を長とする対策本部を設置する
◆ 本社は従業員の安全を最優先するものとし、現地拠点に対して必要な指示、支援等を行うものとする。
以上は、あくまで一般的な流れですので、実務的にはまだ詰めるべき部分は多いのですが、おおよその骨格はできるのではないでしょうか。
ガイドラインを作っただけでは意味がありません。責任者の任命、連絡網のアップデート、非常訓練、細則マニュアルの作成等、細かく作り込んでいく必要があります。
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