2016/06/15
Q 当社では、海外に現地法人を設立し、駐在員を派遣する予定です。日本を出国する前に住民票を抜かなくてならないと聞きましたが、住民税や住民票への影響はどのようになるのでしょうか?
A 弊社のコンサルティングでも、「住民票を抜いた方がよいですか?」とのご質問を受けることが多くなっています。
原則としては、出国前に、自治体に海外転出届を提出することがルールになっているのですが、これにより、諸々の影響が出てまいります。
その影響を避けるため、住民票を日本に残したまま、出張扱いで、海外駐在をしているケースもあるようですが、企業コンプライアンスとしては、曖昧な運用となってしまいます。
海外進出の初期段階では、ケースバイケースのご判断になると思いますが、その前提として、そもそも「海外転出届」とはどのような手続で、その影響はどのようなものなのか、整理してみたいと思います。
(1) 海外転出届について
対象者:原則として1年以上の予定で海外に赴任する人
届出先:現住所の市区町村の住民登録窓口
持参物:パスポート、海外出向辞令書など
(2) 海外転出届の影響について
◆住民税
1月1日時点で、国内に居住していなければ、その年の6月分からの住民税は発生しません。
実務上は、住民票が除票されていなくても、会社が給与支払報告書を自治体に提出しなければ、住民税の対象外になるケースもあるようですが、市区町村から会社に問い合わせが来る可能性があります。
◆ 国民年金
加入は任意になります。
ただし、会社員の場合は、原則として会社で厚生年金に加入しており、海外赴任後も、継続加入になるケースが多いので、実務上の影響はほとんどないものと思われます。
(配偶者の方も3号被保険者のままになります。)
◆ 国民健康保険
加入できなくなります。
ただし、会社員の場合は、原則として会社で健康保険に加入しており、海外赴任後も、継続加入になるケースが多いので、実務上の影響はほとんどないものと思われます。
また、海外駐在員は、民間保険会社の海外旅行保険に加入するケースが多く、その場合は、現地での医療は、民間保険でカバーされます。
◆ 印鑑証明
市区町村で印鑑証明書が取れなくなります。
海外赴任中は、実印と印鑑証明書を使用することができません。
この場合の対処として、居住地の在外公館で「サイン証明」をもらう方法があります。不動産登記・遺産相続・自動車譲渡など印鑑証明が必要な重要書類がある場合は、領事官の前でサインをして、それに証明をもらうことで、印鑑証明と同様の効果が認められます。
ただし、海外への書類のやり取りが発生しますので、時間と手間がかかります。特に自動車の売却をする場合は、赴任前に済ませるようにしてください。
◆ 住民票
市区町村で住民票が取れなくなります。
ただし、居住地の在外公館で在留証明書を取得することができます。
◆ 選挙権
市区町村で選挙ができなくなります。
対応としては、居住地の在外公館で在外選挙人名簿に登録することで、在外選挙が可能になります。
◆ その他自治体の住民サービス
家族帯同で海外赴任する場合は、子供の予防接種、定期健康診断の案内が市区町村から届かなくなります。検診のスケジュール等は、現地の日系クリニック等に相談しながら、自己管理するようにしてください。
弊グループでは、日系企業様の海外進出を支援させていただいており、海外駐在員の給与、所得税、社会保険、福利厚生等の労務管理のご支援をさせていただいております。ぜひお気軽にご相談ください。
ガルベラ・パートナーズの「海外赴任.com」
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