GERBERA PARTNERSブログ

海外進出全般|海外駐在員は住宅ローン控除を受けられない?

2016/09/28

Q 当社の海外駐在員から、「海外駐在員は住宅ローン控除を受けられないと聞いたが、そのような話は聞いてない」とのクレームがありました。他社ではどのような対応を行っているのでしょうか?

 

A おっしゃるとおり、海外赴任中の住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、日本の「居住者」であることが要件なので、原則として、海外駐在中は控除を受けることができません。

 

ただし、海外勤務中は控除を受けることはできませんが、一定の手続きをしておけば、帰国後に残りの期間について控除を受けることができます。(租税特別措置法第41条12項)

 

【要件】

(1) 「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を出国日までに提出すること。

 

(2) 帰国後の最初の年に「再居住に関する証明書類」を添付して確定申告をする。

 

ご注意いただきたい点としましては、住宅を取得した年に海外駐在した場合は、下記のような例外がありますので、注意が必要です。

 

【租税特別措置法第41条14項】

  住宅等の取得等をして、自己の居住の用に供した居住者が、その年の12月31日までの間に、転勤等による転居により、その者の居住の用に供しなくなった場合、当該居住年の翌年以後、これらの家屋を再びその者の居住の用に供した場合は、残年数期間住宅取得等特別控除ができる。

 ただし、当年中にやむを得ず帰国した場合は、要件を満たさず控除を受けることができない。(「12月31日まで引き続きその居住の用に供している」という要件も満たさない。)

 

 

 また、単身で海外赴任をする方の場合は、下記の通達がありますので、住宅ローン控除を受けることができるかについて、個別のケースごとに、顧問税理士又は税務署にお問合せください。

 

【租税特別措置法関係通達41-2】

 新築増築等をした者が転勤等やむを得ない事情により、配偶者、扶養親族等と日常の起居を共にしないこととなった場合において、その家屋をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており、事情が解消した後はその者が共に居住することになると認められるときは、その者がその家屋を引き続き居住の用に供しているものとする。

 

 個別に税務的な判断が発生しますので、ケースバイケースになるのですが、原則として海外駐在員は住宅ローン控除を利用できない点については、会社からのご説明が必要です。

 

 住宅ローン控除は、金額も大きいため、海外駐在という会社都合で受けられなくなると不利益感が大きいものです。また、細かい点ですが、海外駐在員には、年末調整もありませんので、還付金もなくなります。

 

 この他、住宅や車の処分、荷物の移送、年金など諸々の負担が発生する場合があります。海外駐在に付随する諸々の不利益については、事前に会社から丁寧に説明を行い、手当等でどのように補填されているのか詳細な説明をすることが、トラブル防止の観点から必要です。

 

 会社によっては、擬似的な年末調整や住宅ローン控除をシミュレーション実施して、海外駐在員に還付しているケースもありますが、手間を考えるとあまりお勧めできる方法ではありません。

 

 やはり、海外駐在員の給与や福利厚生の中で、総合的に補填を検討するのが一般的かと考えられます。

 

 弊グループでは、日系企業様の海外進出を支援させていただいており、海外駐在員の給与、所得税、社会保険、福利厚生等の労務管理のご支援をさせていただいております。ぜひお気軽にご相談ください。

 

ガルベラ・パートナーズの「海外赴任.com」

 


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