2015/06/03
Q アセアン市場に進出するに際して、地域統括拠点をシンガポールに置く日本企業が多いと聞きます。直接アセアン諸国に投資するのではなく、シンガポールにいったん地域統括拠点を置くメリットを教えてください。
A シンガポールは1980年代から急激に発展し、アセアンの優等生として周辺諸国に対して影響力を発揮しています。外資参入の規制が弱いこともあり、諸外国からの直接投資も増えており、一人当たりGDPはすでに日本を超えました。
これまで、アセアン地域は製造業の生産拠点として機能してきました。労働コストの低い国で製造し、その生産物を日本や欧米で販売するというビジネスモデルでした。ところがアセアン諸国の一人当たりGDPが伸びるにつれて、これからは販売市場として期待されるようになりました。
販売となると、販売拠点が必要になってきます。日本から営業部隊をコントロールするには、少し離れすぎということになり、アセアンのどの国にも1~2時間で行けるシンガポールに、ヘッドクォーターを設置する企業が増えています。
単にシンガポールに販売拠点を設立するのではなく、アセアン全域への統括拠点という位置づけで設立するケースが増えています。
前置きが長くなりましたが、シンガポールに地域統括拠点を置くことのメリットを検討してまいりたいと思います。
まず真っ先に挙げられるメリットとしては、その税制になります。もともと17%と低い法人税率ですが、地域統括会社に対しては、さらなる優遇税制を制定しています。
税制以外にも様々なメリットがあり、大きい理由の一つは、シンガポールがアセアンの真ん中に位置しているため、どこに移動するにも便利なことです。また、便利といえば、その都市機能もメリットの一つといえます。インフラが整備されているため、駐在員の生活環境はアセアンでも群を抜いて良好です。
その他には、中国をはじめ、欧米、インド、アラブ、アセアン諸国から国際人材が集まっており、人材を確保しやすい環境にあります。
もちろんデメリットもあります。昨今の経済成長により、人件費も不動産賃料も高くなっており、ランニングコストが高くなっています。また、外国人の雇用に関するビザの要件が年々厳しくなっており、若い駐在員を派遣しにくい環境となっています。
しかし、地域統括会社は、これらのデメリットをカバーしても余りあるほどのメリットがあります。まずはシンガポールにペーパーカンパニーを設立して、将来的に地域統括拠点にしていくという方法を採用する企業も多くあります。シンガポールでのペーパーカンパニーの設立は、進出に要するコストも要件も、ほかのアジア地域に比べるとハードルが低くなっています。ぜひ検討をされてみてはいかがでしょうか。
次回以降、シンガポールにおける地域統括会社の活用方法や税制面についても、ご案内してまいりたいと思います。
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