2017/09/01
A、シンガポールの就労パスを発給する省庁のMOM(Ministry of Manpower)は、2017年1月1日から専門職や管理職向けのEP(Employment Pass)の基本月給の下限を3,600シンガポールドル(約288,000円、1シンガポールドルを約80円で換算すると)に引き上げとなりました。
また、既に雇用しているEP保持者の更新については、2017年7月1日以降に更新手続きが必要となる方は、基本月給の下限である3,600シンガポールドル以上で更新手続きしなければなりません。ちなみに前回基本月給の下限の引き上げが行われたのが2014年1月1日で、その下限が3,300シンガポールとなりました。
それ以前においては2011年から段階的に基本月給の下限(2,500シンガポールドル⇒2,800シンガポールドル⇒3,000シンガポールドル)上がり続け、約10年の間に1,000ドル以上の上昇となりました。
MOMで制定された基本月給の下限3,600シンガポールドル以上で申請をして、承認されるかどうかについて現状どうなのか?
単に月額給与3,600シンガポールドルで申請しても、誰でも承認されるとは限らないので申請に際して留意が必要です。
EP申請の留意点として、基本月額給与3,600シンガポールドル以上の設定し、かつ年齢、経験、職位(ポジション)に応じた給与額を決め、学歴(主に大学卒業以上であるが、具体的に大学名などが明らかにされているわけではありません)があることを、申請する際に事前に留意しての確認や準備することが必要です。
そこで申請の前に、EP(or Sパス)で承認となるかどうか確認できる、『就労パス自己診断ツール(SAT)』がMOMのWebサイト内にあります。
『Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT)』
この自己診断ツールは、無料で誰でも何度でも利用できますので、国籍、学歴、ポジション、職務年数、給与額などを入力して診断を行います。この診断ツールでEPの承認とならない場合は、そこで入力した給与額を、EPが承認となるまで給与額を変えながら少しずつ上げていき、EP承認となった給与額が、申請時にあくまでも参考となる月額給与設定となります。
(経済状況や雇用情勢などにより結果が変わることもあります)
ちなみに給与額、学歴が高ければ高いほど承認となりやすく、給与額をある程度抑えて設定する場合は、若年層が承認になりやすいという現状です。
申請の現状として下記が一部事例ですので、あくまでもご参考にしてください。
(30代後半以上は5,500~6,000シンガポールドルでなければ承認は難しい)
EP申請については現地雇用者のみの問題ではなく、日本からの駐在員、とくに若手社員を管理職としてではなく現地に赴任させる場合も、EP申請に際して現地給与額(手当込みなど)の設定について留意しなければなりません。
また気を付けなければならないこととして、EP申請者の審査に関わる要件問題だけでもなく、雇用主企業の状況も審査対象になります。従業員で外国人の雇用人数が多すぎないかどうか、シンガポール人の雇用人数が少なすぎないかどうか、雇用だけでなく企業がシンガポールに貢献しているかどうか、といった企業側の状況も含めて審査となります。
以上、事前に留意してEP申請を行います。
万一、EP申請が却下となった場合は、給与設定額をさらに上げて再申請を行うか、S Pass枠に余裕がある企業対象のみになりますが、限りある数のS pass枠を利用するか、S pass枠がない場合は、却下となった申請をもとにアピール申請という手続きがあります。
アピール申請はEPが承認されるように、却下となった申請内容をもとに、申請者の能力を示す書類(資格や技術に関する証明書、推薦書など)を追加して、EP承認となるようにMOMへ申請する手続きとなります。アピール申請の結果については、最低3週間ほどの時間がかかり、確実にEP承認ではないですが、当初の申請要件の内容で承認される可能性がございます。
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