2016/10/12
Q フィリピンに進出を検討していますが、労務管理が難しいイメージがあります。労務法制の特徴を教えてもらえませんか?
A フィリピンの労働者の方々は、日本とは異なる文化を持っていますので、日系企業の画一的なルールを適用するのは難しいことも多いかと思います。
・キリスト教文化
・仕事より家族を大切にする文化
・叱責や指導に対する感覚の違い
他にもたくさんの文化的な相違点はありますが、そうした点については、テキストだけではなく、ぜひ現地の方々と交流を深めて、感じ取っていただきたいと思いますが、労働法的な相違点もご確認いただければと思います。
労働法での特別な点は、次のとおりです。
(1) 労働時間
1日8時間まで、1週間48時間まで。
(2) 時間外割増賃金
時間外労働25% 深夜労働10%(午後10時~午前6時) 休日労働30% 法定祝日100%
(3) 休日
連続6日間の勤務日ごとに24時間以上の休息を与えないといけない。
(4) 有給休暇
1年以上勤務した従業員に年間5日間の有給休暇を付与する。
(5) 産前産後休暇
産前2週間、産後4週間の出産休暇(有給)を付与する。
妻の出産時に、男性には7日間の有給休暇を付与する。
※男性の産前産後休暇が特徴です。家族を大切にする文化が表れています。
(6) 健康確保措置
健康診断の費用負担、休憩室設置、夜間労働の規制など。
(7) 法定賞与制度
1か月分の給与を法定賞与として支給する。
※年末のクリスマス前に支給するボーナスで、ダブルペイと呼ばれています。フィリピンの方々にとって、クリスマスは一大イベントです。
(8) 賃金支払
賃金は月2回以上の支払いが必要(16日を超えない間隔で)
※会社の会計担当者泣かせの月2回支給です。
日系企業にとっては大きな負担となります。
(9) 最低賃金
最低賃金について、他のASEAN諸国同様、年々上昇しています。
NCR(マニラ首都区)、Region IV A(カラバルソン地区)など、地区ごとに設定されていますので、自社の工業団地などの地域を確認するようにしましょう。
以上のように、労務管理で注意が必要な点もいくつかあります。こうした点をおろそかにしては、現地の労働者との関係も難しくなりますので、ご注意いただければと思います。
弊グループでは、日系企業様の海外進出を支援させていただいており、海外駐在員の給与、所得税、社会保険、福利厚生等の労務管理のご支援をさせていただいております。ぜひお気軽にご相談ください。
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