2014/12/10
Q 当社ではフィリピンへの進出を検討しています。いろいろと規制や優遇措置などがあるかと思いますが、分かりやすく説明してもらえないでしょうか?
A 海外進出を検討する上で、外資規制と優遇措置の内容を理解しておくことはたいへん重要です。自社の事業が有利になるか不利になるか、それにより経営判断は大きく左右されます。
制度はたいへん複雑ですが、大枠を簡潔に説明したいと思います。
(1) 外資規制について
現行の第9次ネガティブリスト(2012年10月~)に該当していないか、チェックが必要です。ポイントのみ抜粋して以下に解説します。
1. リストA-3「払込資本金額が 250 万ドル超の小売業」でないと進出できない
小売業に関しては、地場の財閥系資本の政治力が強く、資本金規制による参入障壁が存在します。親会社の純資産が2億ドル以上という条件もあり、参入しているのは、ユニクロ、イオン、ローソンといった大手流通業に限られているのが現状です。
また、外食産業もリストA-3に該当します。吉野家、カプリチョーザなど多くの外食産業が進出していますが、そのほとんどがフランチャイズです。
2. リストA-18「外国人による土地所有の禁止」
土地の所有はフィリピン人、またはフィリピン人が資本の60%以上を所有する株式会社などに限定されています。
外国企業が進出する場合は、外資40%以下で土地保有会社を設立し、100%製造現地法人がそこからリースする形が一般的です。
(2) 投資優遇措置
投資優先計画(IPP)で投資奨励分野を確認していただきたいと思います。その多くが製造業ですが、「病院・医療サービス」が2012年から新たに加わったことは注目に値します。奨励分野に該当する業種は申請を経て、フィリピン経済特区庁(PEZA)の登録を受けることができます。
PEZA登録企業として進出すると次のようなメリットがあります。
・法人税免税 新規4~6年間 最大8年間まで延長可。
・上記満了後も、5%総所得課税(粗利の5%)を採用することで、国税・地方税が免税となる。
・付加価値税(VAT)や輸入関税の免除。
・通関手続きの簡素化(特区内のPEZA事務所で可能)
・原則として100%輸出企業が対象だが、30%まで国内販売を認める場合がある。