2016/02/24
Q 当社はこのたび、アメリカで飲食業を開業することになりました。現地法人の形態にするか、支店の形態にするのかで悩んでいます。これらについてメリット、デメリットを教えてください。
A 日本企業がアメリカで飲食業を行う場合、法人を設立するのか、非法人のままで経営するのか、悩むことはもっともなことだと思います。
アメリカにおける法人の形態は2種類に分かれ、一つはCorporation、もう一つはLLC(Limited Liability Corporation)です。
Corporationは、日本の株式会社と同じようなもので、LLCは、日本の合同会社と同じようなものです。大きな違いは、Corporationは、生じた利益に対して連邦および州の法人税が課されますが、LLCは、同様な方法を採ることもできますが、LLC自体が課税されず、その保有者である出資者に直接課税されるという「パス・スルー課税」を採用することもできます。
また、Corporationは比較的簡単にその持分を譲渡することができますが、LLCの場合は持分の譲渡性が低く、他のメンバーの合意が必要となるケースが多いといえます。そのため、不特定多数の株主による出資ということになれば、Corporationを選択するしかありません。逆に、100%子会社となれば、CorporationとLLCのいずれも選択することができますが、LLCは若干問題点もあります。
その問題点とは、日本の税法上の取扱いにおいて、損益通算ができなかったり、パス・スルーを選択した場合は日本本社に対して米国税務当局の調査が及んだりします。
とはいえ、LLCの優位性もあるため、米国における統括会社をCorporationで設立して、各州ごとにLLCを設立するという方法が選択されることもよくあります。
CorporationとLLCのメリット、デメリットをしっかり認識したうえで、最適な事業形態を選んでいただければと思います。
米国内で本格的に事業活動を開始する前に、準備や情報収集をしたり、あるいは連絡窓口を開設するといった場合、法人を設立せず、駐在員事務所を開設する場合があります。アメリカでは、駐在員事務所の設立については届出さえも必要ではありません。
そして、営業を行うのであれば駐在員事務所というわけにもいかず、もし法人を設立しないのであれば、選択肢は支店設立ということになります。
支店を開設するには、営業登録が必要になります。事務所を開設する州で「州外法人」として登録をして、すぐに営業活動を開始することができる手軽さがメリットとなります。
支店の場合は、法人税課税がなされる可能性があるほか、駐在員事務所も支店も、これらの活動は日本本社の行為とみなされ、米国での訴訟対応の負担や巨額賠償責任のリスクが親会社に及ぶことになります。
進出前に、法人にするか、支店にするかを決定しなければなりませんが、法人は出資した範囲内でビジネスから生じる責任を負う「有限責任制」ですが、支店は日本本社に責任が移るため、米国内だけでは済まなくなります。
訴訟社会であるアメリカでは、巨額の損害賠償責任が本社にまで及ぶことになり、非常にリスクがあるといえますので、アメリカで飲食店を経営する場合も、法人を設立されることをお薦めします。
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