2021/07/06
A、夢の海外赴任、あるいは突然の海外赴任……。企業のグローバル化や海外企業との提携、工場の移設などで、海外出張や海外勤務の機会が増えた会社も多いのではないでしょうか。海外出張にはプライベートでの海外旅行とは異なる準備・持ち物が必要になる場合もあります。長期滞在となる海外赴任の場合には、さらに入念な準備が必要となります。今回は、渡航前の医療関係を中心にご案内させていただきます。
まずは赴任先となる国の情報を集めましょう。入国に際して必要な情報はもちろん、その国の文化や宗教、経済や政情などもあらかじめ調べておいた方が安心です。
また、日本人がどれくらい住んでいるのか、日本製品を入手できる場所はあるか等の情報も把握しておくとよいでしょう。先に赴任している人がいる場合には、その人からの情報収集も有効です。
まずは赴任日までにやるべきことを洗い出し、早めにスケジュールを立てましょう。
役所への届け出や、税金・年金・公共料金など事務手続きも多く発生します。会社で手配してもらえるもの、個人で手配しなければいけないものあります。手続きの内容によっては、数週間や数ヵ月といった期間を要するものもありますので注意しましょう。どちらで手配するか不明な場合は、早めに会社の担当部署に問い合せておく必要があります。
家族帯同で赴任する場合には、家族の準備もあります。特に子供と赴任する場合には、どんな幼稚園・学校に入れるかなども選択する必要もあります。
また、勤務地によっては、予防接種など特別な準備が必要になる場合もあります。早めに、やるべきことをリストアップしましょう。
海外赴任の準備期間はほとんどの場合、余裕がありません。
海外赴任は、一般的に出発の数ヵ月ほど前に内示が出され、そこから急いで準備を始めることになります。
その中でも一番時間がかかるのが予防接種です。地域により接種するワクチンが異なり、総合病院でもワクチンがない場合があります。海外渡航者向けのトラベルクリニックで経験のある先生に相談の上、地域に合ったワクチンを接種する方法が望ましいです。
また、その他手続きの多くは、用意する書類に不備などがなければ10日から2週間ほどで済ませられますが、書類に不備があったりすると手間も時間も大幅にかかります。
配偶者や子供を帯同する場合、子供の転向手続きが必要となり、多くの書類を揃える必要があります。さらに、持ち家を賃貸・売却する場合は、手続きは業者に任せるとしても、完了するまでには数ヵ月程度の時間がかかってしまいます。
トラベルクリニックは、主に海外に渡航する人を対象に診療を行う専門の医療機関です。
海外赴任者は、トラベルクリニックで渡航前の健康相談、予防接種や渡航先の医療情報の提供を受けることができます。トラベルクリニックの特徴は、世界で流行している感染症や医療事情などの情報を把握している点です。渡航国に応じた予防接種について説明を丁寧に行ってもらうことができます。
また、海外赴任先の医療機関で利用できる診断証明書や持病の処方箋を英文で発行するサービスも行っています。
感染症のリスクが高い国や地域に海外赴任する場合は、予防接種による感染症対策が必要です。特に途上国への赴任では、衛生面や気候の違いから感染症のリスクが高まります。また、アフリカや南米の熱帯地域では、入国許可のために黄熱病の予防接種証明書(イエローカード)を提示することが義務付けられている国もあります。
海外赴任の際に検討すべき予防接種は主に7種類あります。
①破傷風 ②A型肝炎 ③B型肝炎 ④狂犬病 ⑤日本脳炎 ⑥ポリオ ⑦黄熱
赴任先の地域や状況によって必要な予防接種の種類は異なるため、事前にトラベルクリニックへの相談が必要です。
1ヵ月を超える長期滞在予定の場合、ほぼ全ての地域で、破傷風の予防接種が推奨されています。破傷風の菌は世界中にあり、小さな傷から体内に侵入するため、常に感染の危険があります。日本でも毎年、感染例が報告されています。破傷風の予防接種は時期を空けて数回行う必要があります。過去に接種経験がない場合は少なくとも2回の接種を行う必要があり、2回の接種を受け終えるまでに1~2ヵ月の期間を要します。
過去に破傷風の予防接種を受けた経験がある場合も、追加接種が必要と判断される場合がありますので、専門機関への相談は行っておくべきといえます。
A型肝炎は食中毒の原因として話題になるウイルスです。衛生環境の悪い地域では、食べ物を通じて感染するため特に注意が必要です。
A型肝炎の予防接種は2回接種する必要があり、完了までに1月ほど期間を見ておいた方がよいでしょう。
狂犬病の予防接種は全ての渡航者に対して推奨されているわけではありませんが、感染・発症した場合の致死率がきわめて高いため、予防接種を受けておいた方がよいでしょう。
狂犬病の予防接種も複数回に分けて行う必要があります。
海外赴任が決まった時点で、日本で歯科検診を受けておきましょう。検診によって治療が必要だと判断された場合、治療に数か月かかってしまうこともあります。
歯科治療は、国によって大きく異なり、保険の適用条件も異なります。どうしても現地で歯科治療を受けなければいけなくなった場合、まずはその国の制度について調べることが必要です。
社会保険に加入しているなら、歯科治療の費用を一部還付してもらうことが可能です。また、海外旅行(駐在員)保険でも歯科治療をカバーできる可能性があるため、保険に加入している人は規定を確認しておくと良いでしょう。
渡航時に、英文の健康診断書を持参すると現地で医者を受診する際に役に立ちます。
海外赴任が決まったら、赴任者は渡航前に健康診断を受けることになります。健康診断の結果は、英文でも作成してもらいましょう。現地で医者を受診する場合、症状を伝えるには専門的な用語も必要とされます。普段の健康状態について的確に伝えるためにも英文の健康診断書は役立ちます。持病やアレルギーについても英語で記載してあれば、尚良いでしょう。
子どもを連れて海外赴任する場合は、翻訳された母子健康手帳を持っていきましょう。
子どもが現地で初めて医師の診断を受けるときは、日本と同様にアレルギーや既往症、出産時の状態などについて聞かれます。予防接種証明書も取得しておくと安心です。母子健康手帳は日本特有のものですが、子どもの健康状態について正確に伝えるために有効な手段となります。
また、厚生労働省の指令に基づく二ヶ国語併記母子健康手帳を購入することもできます。英語をはじめとする数ヶ国語を併記した母子健康手帳が用意されています。
おわりに、今回は海外渡航前の準備で、医療関係を中心にご案内させていただきました。海外赴任の準備には、思いもよらないことがよく起こります。海外赴任に関するスケジュールを管理するためのチェックノートを無料で送付させていただきます。
海外赴任に関するご質問及び海外赴任に関するスケジュールチェックノートをご希望の方は[ガルベラの海外赴任.com]まで、お問合せください。
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詳しくは[ガルベラの海外赴任.com]をご覧ください。
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