2015/06/05
まず減資の方法として、二つの方法があることはご存じでしょうか?
一つ目は欠損の填補などに使用する「無償減資」、二つ目は株主に対して出資金額を返金する「有償減資」です。
有償減資とは、手続き上、資本金の減少とそれに伴って増加するその他資本剰余金を源泉とする剰余金の配当という個別の手続きを組合せて行うことになります。結果的に、株主に対して出資金額が払い戻されることになります。
一方、無償減資とは、繰越利益剰余金(貸借対照表上の純資産の部)がマイナスになっている場合に、欠損の補填として資本金を充当するという減資の方法です。この無償減資をした場合には、株主に対して現金が払い戻されることはありません。
両者の減資について注意しなくてはいけないことは、減資=発行済株式総数の減少ではないということです。そのため、減資の際に発行済株式総数を減らしたい場合には、株式を併合する手続きをしなくてはいけません。この点は、減資の際に誤解されやすいところになりますのでご注意ください。
そこで減資の手続きにより、会計上と税務上でどのような相違があるかをまとめてみたいと思います。
会計上の資本金については、無償減資と有償減資ともに減少します。一方、税務上の資本金(資本金等の額)については、有償減資の場合には減りますが、無償減資の場合には一切減りません。
会計上の資本金と税務上の資本金(資本金等の額)で影響を受ける項目が異なりますのでその点も合わせて注意が必要です。会計上の資本金を基準として取扱いが変わるものとしては、資本金1億円以下の法人に適用される法人税の軽減税率、特別償却・特別税額控除、更には、以前話題になりました外形標準課税の判定です。
また、税務上の資本金(資本金等の額)を基準として取扱いが変わるものの代表例は、赤字の法人でも固定でかかる法人住民税の均等割額です。
まとめますと無償減資と有償減資どちらの手続きでも、外形標準課税や中小企業者の軽減税率の適用を受けられるため、大きな法人からするとメリットがあります。しかし、無償減資の場合には、税務上の資本金(資本金等の額)は、減りませんので法人住民税の均等割額は減ることはありません。
そのため減資の手続きをする際は、どちらの減資を選択するかを考えた上でその後の影響も十分に考慮にいれた上で進めて頂けましたらと思います。
弊社では、減資の手続きはもちろん資本政策に特化した税理士がいますのでお悩みの方はガルベラ・パートナーズ東京事務所(03-5405-2815)までご相談ください。
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