2015/05/29
Q 最近、我が社も海外との取引が増加しており、中国現地法人に続き、香港にも現地法人を設立予定です。そこで、よく香港やシンガポールに会社を作ると節税になる、というような話を聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか?
A 香港やシンガポールに会社を設立すると税金が有利になるという情報が溢れています。しかし、そんな簡単にできるのであれば皆やります。実際は色々と注意点もありますので、以下簡単にご説明します。
香港、シンガポールの法人税率は16.5%と17%で、アジアではこの2国が競い合っています。そこで、「それだったら今まで日本でやっていた仕事を全部香港やシンガポールへ移すと、法人税が得するのでしょ?」というご質問を受けますが、そんな簡単にはいきません。
日本では外国子会社合算税制(旧名:タックスヘイブン対策税制)という制度があり、税率が低い国で稼得した所得についても日本側で取り込んで合算課税しますよ、という法律があります。そうすると、形だけ香港へ所得を移しても、結局日本側で課税される、ということになってしまいます。
一方、上記のような租税回避行為を目的とした企業ばかりでなく、しっかり実態を持って香港でビジネスをやっている企業もあります。そのような企業に対しても一律に外国子会社合算税制を適用すると、税制が企業の成長の妨げになる、といった批判も出ます。
そこで、実態がある企業にはこの制度を適用しないようにしましょうとした上で、その「実態」があるとはどのような状態か、という基準を示したのが以下の4要件です。
1.事業基準
主たる事業が株式の保有等一定の事業に該当しないこと
2.実態基準
主たる事業に必要な固定施設を本店所在地に有していること
3.管理支配基準
その事業の管理、支配をその本店所在地国において自ら行っていること
4.非関連者基準又は所在地国基準
非関連者基準⇒事業の50%超を非関連者と行っていること
所在地国基準⇒主たる事業を本店所在地国で行っていること
1.で気を付けないといけないのは、香港の会社が単に株式等を保有しているだけのいわゆる「資産管理会社」だとNGとなります。
2.については名義借りのようなペーパーカンパニーはNGですよ、という意味です。
3.については香港で経営をしっかり行っていて、商品管理や、ビジネスの意思決定、決済、経理・財務機能を有する、など日本親会社の指示で動いているのではなく、香港単体で意思決定をしているという意味です。
4.は指定7業種(卸売業、銀行業、保険業など)の会社は「非関連者基準」を満たさなければならず、それ以外の業種は「所在地国基準」を満たす必要があります。
上記は外国子会社合算税制を考える上で重要な項目の1つであり、他にも、関連会社とはどこまで含まれるのか、地域統括会社の場合の取り扱いはどうなるのか、など検討する項目はいくつかあります。
ガルベラ・パートナーズではこのような海外進出・国際税務について多面的にアドバイスをしております。弊社では初回無料相談サービスも行っておりますので、顧問の税理士先生以外にも意見をお聞きになりたいという場合には、ぜひお気軽にご相談下さい。
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