GERBERA PARTNERSブログ

助成金・補助金・給付金|いよいよ迫る 有期雇用から無期雇用への転換措置の導入

2017/05/02

Q、平成30年4月から「無期雇用の転換制度」が始まると聞いたのですが、うちの契約社員も同様に無期継続の雇用契約に変更しないといけないということでしょうか?

A、平成25年4月1日より改正労働契約法が施行されており、多くの企業で平成30年4月から本格的に無期転換の申込みが発生することが見込まれます。長期間雇用している有期契約労働者は、もはや一時的な経営環境の変化や景気変動への対応要員とはいえず、実態に合わせて無期労働契約にしていく必要があります。

 

解説(公開日:2017/05/02  最終更新日:2021/06/14 )

 

無期化は単に今の契約をそのまま無期化すれば足りるといえば足りますが、今後同一労働同一賃金の議論が深まると、そういう対応では賃金等の問題も出てくると考えられます。

 

同じ仕事をしているのに有期のパートタイマーから無期化しても賃金はそのまま6割程度というのでは問題が発生する可能性があります。正社員と同等の仕事を行っている有期契約労働者がいらっしゃる企業は少なくありません。単に契約期間を無期にするだけでは、無期転換社員の労働意欲の低下につながるおそれもあります。

 

そのため、現状の正社員の処遇や仕事の中身と比較しつつ、適切な人事管理の在り方を検討し、制度設計を行う必要があると言えると考えます。

 

無期転換ルールとは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者(パートタイマーやアルバイトなどの名称を問わず雇用期間が定められた社員)の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される、ということです。

 

有期労働契約で働く人は全国で約1,500 万人。その約3割が通算5年を超えて有期労働契約を反復更新している実態にあり、ほぼ「自動的に」更新を繰り返しているだけといえますが、雇止めの不安の解消、処遇の改善が課題となっています。そのため、有期契約労働者の無期化を図り、雇用を安定化させる目的で、平成25年4月1日に改正労働契約法が施行されました。

 

転換権の行使(無期契約への転換の申込み)により、契約期間の定めはなくなりますが、正社員になることと同じではありません。就業規則の変更などが行われなければ、有期の際の労働条件がそのまま引き継がれることになります。

 

ただし、有期契約労働者と無期契約労働者で適用される就業規則の内容が別に設けられる場合などは、労働条件は変わることになります。労働意欲を低下させないためにも今後のあるべき無期化の社員の労働条件を今定めてもいいと思います。

 

同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換します。逆に言えば、通算5年を超えて契約更新した労働者が、その契約期間中に無期転換の申込みをしなければ、有期社員のまま仕事を続けることになります。同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者が申込みを行えば、会社は承諾したとみなされ、そのまま無期労働契約に転換します。口頭でも問題はないですが、書面により意思表示を行って記録を残しておく方が、後々のトラブル防止になるかと思います。

 

新たに無期化社員のために労働条件を定める場合の注意事項についてですが、新たな雇用区分を設ける場合、職務の範囲や責任、勤務地などの労働条件を明確に規定しなければなりません。また、賃金制度をどうするか、賞与や退職金を設定するか、設定する場合に正社員との関係をどのようにするかも考える必要があります。正社員と比較し、従事する業務の内容やこれに伴う責任の範囲や大きさ、職務内容や配置の変更範囲などを考慮して、労働条件を決めましょう。

 

参考に労働契約法に定める内容を記載します。

 

第二十

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

弊社では、有期雇用契約を無期雇用契約に転換することによるキャリアアップ助成金の支給や、無期転換制度の導入支援のための「就業規則」の作成などを行っています。無期転換ルールへの対応が円滑に行えるよう、是非弊社からのサポートもご検討ください。

 

なお、キャリアップ助成金については、多くの企業が無期転換制度を活用して受給しており、平成29年4月1日からはキャリアアップ助成金は次のように変更となりました。

 
  1. 1.これまでの3コースが8コースに変わりました。
  2. 2.正社員化コースについて、正規雇用労働者に「多様な正社員(勤務地・職務限定・短時間正社員)」を含めることとし、多様な正社員へ転換した場合の助成額を増額されました。
  3. 3.人材育成コースについて、中長期的キャリア形成訓練の様式が一般職業訓練と統合され、1年度1事業所あたりの支給限度額が500万円から1,000万円になりました。
  4. 4.新規に諸手当制度共通化コースが設定され、有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設けて、適用した場合に助成されます。
  5. 5.新規に選択的適用拡大導入時処遇改善コースを設定し、労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置により、有期契約労働者等を新たに被保険者とし、基本給を増額した場合に助成されます。
  6. 6.全てのコースに生産性要件が設定されます。

※キャリアアップ助成金の受給申請については、ガルベラの助成金活用サイトをご覧ください。

 

弊社では、顧問契約(手続顧問または相談顧問)を締結いただいているお客様に、さまざまな助成金をご案内するとともに、その申請の代行をさせていただいております。まずはお気軽にご連絡いただきまして、なんなりとお尋ねいただければと存じます。また、一般の事業会社様だけでなく、税理士、会計士、弁護士などの専門家の皆様からもご依頼を承っております。なんなりとご相談ください。

   
 

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