GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|労働条件通知書はいつまでに渡すもの?

2018/05/30

Q、新卒学生の採用をしており、内々定を出しつつあります。実際の入社まで時間があきますが、労働条件通知書の交付はいつ行えばよいですか?

A、平成30年1月の職業安定法改正の施行により、新規学卒者については、内定までに労働条件通知書を交付しなければならないこととなりました。内々定の時点で交付する必要はありませんが、正式な内定までには交付してください。この法改正により、自社のホームページ等に求人内容を載せる際にも、記載しなければならない項目が増えました。改正内容をチェックしておきましょう。    

職業安定法が改正され、平成30年1月1日から施行され、労働者を募集する際のルールが変わりました。

新規学卒者のみに限らず、ホームページ等で労働者の募集を行う場合や求人の申込みを行う際、労働契約締結するまでの間にも、労働条件の明示が必要です。

労働条件の明示が必要なタイミングは次の3つです。

 
  • (1) 自社ホームページでの募集、求人広告の掲載等を行う際
  • (2) 当初明示した労働条件に変更があった場合
  • (3) 労働契約締結時
   

(1)自社ホームページでの募集、求人広告の掲載等を行う際については、以前から職業安定法に基づく労働条件の明示が必要とされていましたが、改正により、明示しなければならない項目が増えました。

 

改正により追加された項目は以下のとおりです。

 
  • 【追加した項目】(省令)
  • ・試用期間の有無及び内容
  • ・募集主・求人者の氏名又は名称
  • ・派遣労働者として雇用しようとする場合はその旨
 
  • 【明確化された内容】(指針)
  • ・労働時間に関し、裁量労働制が適用される場合はその旨を明示すべきこと
  • ・賃金に関し、固定残業代についての事項が含まれること
   

自社のホームページで求人をしている場合、求人用のサイトに必要な項目が網羅されているかチェックをし、不足している場合には、明示項目を追加してください。

 

職業安定法に基づく労働条件の明示項目は以下のパンフレットを確認してください。

  「労働者を募集する皆様へ」 (厚生労働省パンフレット)  

固定残業代については、特に、トラブルにもなりやすい項目です。

 

固定残業を含めた給与を提示する場合には

  • a. 固定残業代を除いた基本給の額
  • b. 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  • c. 固定残業代を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨の3つを明示しなければならないことに注意してください。
 

(2) 当初明示した労働条件に変更があった場合については、今回の改正により、新設された明示のタイミングです。

 

変更の明示が必要となるのは、次のような場合です。

  • a. 「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
  • b. 「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
  • c. 「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
  • d. 「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
 

これまでは、会社のホームページに、月給25万円~30万円で求人が出ていたとしても(上記のb.に当たる)、具体的に給与がいくらになるのかは、会社によっては入社当日に労働条件通知書をもらうまで分かりませんでした。また、面接のときに聞いていたのと違うというトラブルも少なからずあります。

 

変更の明示義務が課されたことにより、法律がきちんと守られていれば、今後は、上記のようなトラブルは生じなくなります。

 

ただし、変更明示を行う場合であっても、当初に明示した労働条件を安易に変更してはなりません。また、変更明示をする場合には、労働者が変更内容を認識した上で、労働契約を締結するかどうか考える時間が確保されるようにできるだけ早く、変更の明示をしなければなりません。

 

なお、新規学卒者の採用については、特に配慮が必要であり、変更を行うことは不適切です。また、原則として、内定までに、学校卒業見込者等に対しては職業安定法に基づく労働条件明示を書面により行わなければなりません。

 

新卒の方については、応募者の能力や経験などにより当初の求人内容と変更する必要が生じることはないと思われます。募集の際に示したとおりの労働条件を書面にし、遅くとも正式な内定の時期である内定式の前には交付するようにしてください。

   

(3) 労働契約締結時については、労働基準法で求められている労働条件の明示であり、今回の改正による変更はありません。

   

新規学卒者の就職はもちろん、中途採用者の転職であっても、どの会社に勤めるかは人生の一大事です。自社に興味を持ってくれた方、希望をもって応募してくれた方に誠実に対応すべく、労働条件の明示は、法律に定められている内容はもとより、さらにより分かりやすく、迅速に行うよう、ぜひ心掛けてください。

   

弊社、社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、日常的なちょっとしたご相談へのお答えから、労務問題やコンプライアンス対策まで、幅広く承っています。

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