GERBERA PARTNERSブログ

中国|中国労働契約作成における留意点

2019/02/06

Q、中国で従業員を採用する際に必要な労働契約書の作成について教えてください。

  A、中国の労働契約においても、日本と同じように絶対記載事項(必要的記載事項)があり、その他に、企業の必要に応じて記載する約定記載事項があります。今回は、必要的記載事項についてご案内します。中国では、従業員の初出勤日から1カ月以内に労働契約書の締結が必須で、1カ月以内に締結しない場合は、2倍の賃金を支給する等の罰則がありますのでご注意ください。  

解説(公開日:2019/02/06  最終更新日:2019/02/16 )

   

中国の労働契約の必要的記載事項は、以下に掲げる14項目です。

  1. ①労働契約期間
  2. ②業務内容
  3. ③労働保護及び労働条件
  4. ④労働報酬
  5. ⑤労働規律
  6. ⑥労働契約終了の条件
  7. ⑦労働契約違反の責任
  8. ⑧企業の名称、住所及び法定代表者または主要な責任者
  9. ⑨従業員の氏名、住所および身分証明書その他の有効な証明書類の番号
  10. ⑩勤務場所
  11. ⑪勤務時間及び休憩時間
  12. ⑫社会保険
  13. ⑬職業上の危険の防止とその危険からの保護
  14. ⑭法律法規の規定により労働契約に盛り込むべきその他の事項
 

中国労働契約の必要記載事項において、今回は➀労働契約期間 ➁業務内容 ④労働報酬⑩勤務場所 ⑪勤務時間及び休憩時間 ⑫社会保険について、簡単に解説してまいります。

 

①労働契約期間

労働契約期間には、固定期間労働契約・無固定期間労働契約・一定の業務完成を期間とする労働契約の3種類があります。

  1. 1.固定期間労働契約:労働期間が有限の契約。
  2. 2.無固定期間労働契約:労働期間がなく、終身雇用の契約。
  3. 3.一定の業務完成を期間とする労働契約:所定の業務が完成すると労働契約が終了する契約。

※中国労働契約法の施行に伴い、固定期間労働契約から、無固定期間労働契約への変更義務が生じているため、固定期間労働契約の契約期間の設定方法については注意が必要です。

 

②業務内容

業務内容の具体的な記載方法は、中国労働契約法等で明確に定められていないため、記載内容によっては、従業員とのトラブルも発生しやすく、特に注意が必要です。従業員と労働契約締結前に、事前の確認及び同意が必要です。従業員が希望する業務内容を確認し、その希望する業務範囲内において、企業が調整することができるように、従業員から同意・承諾を得る必要があります。

 

④労働報酬

中国の賃金の内訳は、企業によって異なりますが、通常、基本賃金・奨励金・手当等が含まれます。賃金の内訳を詳細に分類することによって、残業代及び社会保険料の計算基数を低く抑えることもできます。その他、地域によって残業代の計算方法や最低賃金が異なるので注意が必要です。

 

⑩勤務場所

勤務場所の記載方法については、労働契約法などでどこまでの記載が必要かは明記されていません。通常「〇〇市△△区」まで記載するケースが多いですが、企業の状況(支店が多く、勤務場所の変更が予想される場合など)に応じて記載する必要性があります。例えば、勤務場所を本部のみで記載すると、支店へ異動が困難になるケースもありますのでご注意ください。

 

⑪勤務時間及び休憩時間

勤務時間には、標準勤務時間制度・不定時勤務時間制度・総合計算勤務時間制度の3種類があります。

  1. 1.標準勤務時間制度:勤務時間が1日8時間、週40時間以内で、週に少なくとも1日の休日を設定する制度。
  2. 2.不定時勤務時間制度:従業員の出退勤の時間が確定せず、時間通りに出退勤できない場合において利用されており、高級管理職や運転手、セールスマンで多く利用されている制度。原則として、残業代は発生しない。
  3. 3.総合計算勤務時間制度:標準勤務時間制度を基本として、ある一定期間を1つの単位として勤務時間を合算する制度。通常、週、月、季、年を単位として時間計算を行う。単位時間を超えた場合は、残業が発生する。

※各勤務時間制度において、メリット・デメリットが異なりますので、企業の実情に合わせた勤務時間制度を採用する必要があります。

 

⑫社会保険

中国には「5険」と呼ばれる社会保険、すなわち、養老保険・医療保険・失業保険・生育保険・労災保険の5つの社会保険があります。企業には、「5険」すべてに保険料納付義務があります。また従業員には、養老保険・医療保険・失業保険の保険料納付義務があります。

※企業が社会保険に関連して実施しなければならないのは以下の通りです。

  1. 1.企業設立日から30日以内に、社会保険取扱機構で社会保険登記を行う。
  2. 2.毎月、当局に社会保険料総額を申告し、その確認を受けてから所定期間内に社会保険料を納付する。
  3. 3.毎月、従業員の賃金から納付すべき社会保険料を控除し、代理納付する。
 

以上、中国の労働契約における必要的記載事項をご紹介させていただきました。今回の必要的記載事項は、中国労働法及び中国労働契約法で定められているものですが、この他に、北京や上海などの各地域の政府がその地域限定で定める必要記載事項がありますのでご注意ください。

 

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