2019/11/01
寄付の相手先が同族会社の社長の出身校であり、寄付行為の取引主体が法人ではなく社長となっているため、いくら法人名義といえども法人から支出した寄付金としては取り扱われない可能性が高いです。本来社長個人が負担すべき寄付金を会社が負担したのではないかという疑義が生じるからです(法人税法基本通達9-4-2の2)。
法人の社長が個人として負担すべきものを法人名義で支出した場合は、法人からその社長に対する経済的な利益の供与となり、役員給与又は役員賞与として取り扱われます。しかし、定期同額給与(毎月の役員給与)、事前確定届出給与(役員賞与)等のいずれにも該当しないものと思われますで、法人としては損金の額に算入されず、役員給与損金不算入として、所得金額の加算項目として調整が行われることになります。
しかし、社長にとっては特定寄付金の支出に該当しますので、所得税の確定申告において、次の算式により計算した寄付金の額を社長の所得税額から控除することができます。
次のいずれか少ない金額-2千円=寄付金控除額
(1)その年に支出した特定寄付金の合計額
(2)その年の総所得金額の40%相当額
特定寄付金とは、国等に対する寄付金、公益社団法人・公益財団法人その他の公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄付金のうち一定の要件を満たすと認められるもので財務大臣が指定したもの、政治活動に関する寄付金のうち一定のもの、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)に対する寄付金のうち一定のもの等を言います。
なお、社長個人が負担すべきかどうかの判断ですが、法人と社長の出身校との間に継続的に一定の取引関係等があり、法人と出身校との間に密接なつながりがあれば、会社から寄付金を支出しても相当であると認められ、一定額を損金の額に算入することができます。要するに、当社が出身校に寄附する業務上の理由が必要になるという事です。単に社長の出身校、或いは出身校の貢献等だけでは、業務上必要支出の理由にはなりません。
また、法人から行われる寄付であっても、国立・公立等の学校であるならば国等に対する寄付金として支出額の全額を損金の額に算入することができます。この場合の国等に対する寄付金とは、最終的に国等において採納されるかどうかが重要であり、国立・公立等の学校であっても最終的に国等において採納されないものは全額を損金の額に算入することができず、その一部が損金の額に算入されることになります。
尚、国立・公立等の学校以外であっても、公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金で、広く一般に募集され、かつ公益性及び緊急性が高いものとして、財務大臣が指定したものについては、「指定寄付金」という形で全額損金に算入することが可能です。
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