2019/11/15
企業のグローバル化が進み、外国人従業員の雇用は増加しています。その多くは、日本国内の企業に直接雇用されていますが、外国企業との雇用関係を保ったまま、日本企業に赴任する外国人従業員もいます。
日本国内で働く者は、国籍に関わらず、条件に合えば、社会保険の加入の手続きをする必要があります。まずはその加入条件を見ていきましょう。
事業所が社会保険の適用とされるには、株式会社などの法人であること、または、農林漁業、サービス業など以外の個人事業で、従業員が常時5人以上いることが必要です。法人は、たとえ代表取締役1人であっても社会保険は適用されます。
これらの事業所に勤務する従業員が、次の(1)(2)のいずれかの条件に該当する場合は、社会保険の加入対象になります。
(1)勤務時間及び日数が正社員の4分の3以上であること
1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、正規勤務の従業員(正社員など)の4分の3以上であれば、契約社員、パートといった区分を問わず加入対象になります。一般的には、所定労働時間週30時間以上、月130時間以上が目安となります。
(2)週20時間以上の勤務、月額給与88,000円以上などの条件をみたしていること
従業員数が501名以上(厚生年金の被保険者数)の企業の場合は、次の基準のいずれにも該当する従業員は加入対象となります。
(2)の基準は、2016年10月1日から始まった基準で、その後2017年4月1日からは従業員500名以下(厚生年金の被保険者数)の企業でも、労使の合意があれば、同様の加入条件を適用できるようになりました。
従業員が社会保険の加入対象になるかどうかの基準は、主に労働時間にかかわるもので、従業員の国籍には影響されません。一方で、外国人従業員を雇用するときに、次の条件に当てはまるときには、社会保険の加入が除外または免除されるため注意が必要です。
(1)海外の企業との雇用関係がある場合で、給与の全額が海外の企業から支払われているとき
勤務する日本の事業所から給与が払われていない場合は、加入条件を満たしていても社会保険に加入することができません。一方、給与の全部または一部が、勤務する日本の事業所から支払われる場合は、その給与額を申告して社会保険に加入することになります。
なお、外国人従業員が日本の事業所から給与が支払われないために、社会保険に加入できない場合でも、日本に住所を有しているため、国民健康保険及び国民年金に加入する必要があります。
(2)社会保障協定を日本と結んでいる外国から、5年以内の見込みで日本に派遣されて勤務するとき
現在、日本は22か国と社会保障協定を締結しています。
協定が発効済の国 | ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ(※) スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク フィリピン スロバキア 中国 |
署名済未発効の国 | イタリア スウェーデン フィンランド |
※2019年11月1日現在の状況
協定締結国の企業から外国人従業員が日本に派遣され、社会保険の加入対象となった場合でも、その期間が短い(概ね5年以内)と見込まれるときは、日本の社会保険に加入することが免除されます。
社会保障協定については、こちらのブログで詳しく説明しています。
参考ブログ:『日中社会保障協定 2019年9月1日発効が決定』
加入が免除される社会保険は概ね年金制度のみですが、協定国により異なりますので、次のサイトでご確認ください。
日本年金機構「社会保障協定」
このように、外国人従業員であっても、海外の企業とのつながりのある雇用形態や給与の支払方法によっては、社会保険の加入が通常とは異なる扱いとなりますのでご注意ください。
社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、外国人グローバル人材の労務管理のサポートを行なっています。どうぞお気軽にご相談下さい。