2020/04/24
A、新型コロナウイルスの影響で、申告が期限内にできない場合はその旨をきちんと申告書等に記載していただくことで申告期限の延長申請が可能になりました。そして、期限内申告扱いになりますし、延滞税や無申告加算税等のペナルティも課されません、利子税もかかりません。ただ、手続きを誤るとペナルティが課されるケースもありますので、手順を間違えない様にしてください。手順は国税庁HPにも記載がされています。
利子税とは、延納や物納、納税猶予を行った時にかかる税金ですが、法人においては申告期限の延長をした時にもかかるケースがあります。以下は国税庁HPからの抜粋です。
1定款等又は特別の事情があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から2月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあるため、申告書の提出期限を1月間(連結事業年度にあっては2月間)延長しようとする場合。
2会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から3月以内(連結事業年度にあっては4月以内)にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあるため、4月を超えない範囲内で申告期限の延長月数の指定を受けようとする場合。
3特別の事情があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から3月以内(連結事業年度にあっては4月以内)にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあること、その他やむを得ない事情があるため、申告期限の延長月数の指定を受けようとする場合。
4連結子法人が多数に上ること、その他これに類する理由により連結所得の金額又は連結欠損金額及び法人税の額の計算を了することができないことにより、今後、各連結事業年度終了の日の翌日から2月以内に法人税の連結確定申告書を提出できない常況にあるため、申告書の提出期限を2月間延長しようとする場合。
5特別の事情があることにより、今後、各連結事業年度終了の日の翌日から4月以内に連結所得の金額又は連結欠損金額及び法人税の額の計算を了することができない常況にあること、その他やむを得ない事情があるため、申告期限の延長月数の指定を受けようとする場合。
要するに、法人側サイドだけの問題で申告期限の延長をする場合で、上記5つのいずれかに係るケースにのみ申告期限の延長が認められますが、利子税がかかってくることになります。これは「法人税法」の規定による延長申請手続きです。
今回のケース、つまり国税庁HPに記載されている事例の様な新型コロナウイルスの影響による個別延長申請は基本「国税通則法」の規定になります。
国税庁HPの「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ(令和2年4月8日)」では、新型コロナウイルスの影響で申告納税が期限内に行うことができない場合について、簡易な方法で個別延長申請が可能という記載があり、「個別延長申請をした場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となります」という記載があるので、期限内申告扱い&延滞税&無申告加算税がかからないのは明白でした。ただ、利子税についての記載が一切なかったため、念のため利子税がかからない法的根拠も念のため示してほしいと思っておりました。
その様な中、令和2年4月16日に「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」が更新され、そこでようやく法的根拠、つまり国税通則法 11 条、国税通則法施行令3条3項、4項の規定に基づく申請手続きであることが明記されました
国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から2月以内に限り、当該期限を延長することができる。
1国税庁長官は、都道府県の全部又は一部にわたり災害その他やむを得ない理由により、法第11条(災害等による期限の延長)に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、地域及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。
2国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、法第11条に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、前2項の規定の適用がある場合を除き、当該行為をすべき者の申請により、期日を指定して当該期限を延長するものとする。
3前項の申請は、法第11条に規定する理由がやんだ後相当の期間内に、その理由を記載した書面でしなければならない。
そして、国税通則法に基づく申告期限延長の場合は延滞税や利子税がかからないという条文も国税通則法には記載があります。
第11条(期限の延長)の規定により国税の納期限を延長した場合には、その国税に係る延滞税のうちその延長をした期間に対応する部分の金額は、免除する。
第60条第4項、第61条第2項(延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)、第62条(一部納付が行われた場合の延滞税の額の計算等)並びに前条第2項及び第6項の規定は、利子税について準用する。
利子税については、前条第2項つまり「国税通則法第63条2項」のことを指しますので、結果として利子税もかからないということが言えます。ちなみに、次の国税庁HP(下記URL)でも国税通則法による申告期限延長の場合は利子税がかからないという記載があります。
(注)法人税法第75条の規定による延長期間については利子税を納付しなければなりません(法法75 7)が、国税通則法第11条の規定による延長期間については利子税が免除されます(通法64 3、63 2)。
1申告期限の延長(国税庁)
条文をひとつとっても非常に複雑です。法律(条文)に明記されていないことも多々あります。顧問税理士先生等と入念に打ち合わせをしながら仕事を進めて行ってください。
新型コロナウイルスが一刻も早く収束することを心より祈願いたします。
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