2021/03/01
A、労働基準法施行規則の改正により、労使協定の届出様式について、協定当事者の適格性に係るチェックボックス(いわゆる「適格性チェックボックス」)が追加されることになりました。
36協定届の他、様式変更になるものが多くありますので、令和3年4月1日以降の届出に際しては注意が必要です。
以下では、「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令の公布等に当たり留意すべき事項について(令和2年12月22日 基監発1222第1号、基賃発1222第1号)」を参考に、改正の内容を確認します。
情報ソースとしては、下記の千葉労働局のHPが分かりやすくまとまっていますのでご紹介させていただきます。
資料「改正対象となる様式一覧」を見ますと、36協定届のみではなく、多くの様式が変更になっているのが分かります。その中で「適格性チェックボックス」が必要となる様式が重要ですが、36協定届の他にも、企業実務上、よく登場するものに次のようなものがあります。
(なお出現頻度は低いですが、「1箇月単位の変形労働時間制に関する協定届」「清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に関する協定届」「1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定届」も同様に様式変更になります。)
(なお出現頻度は低いですが、「企画業務型裁量労働制に関する決議届」「高度プロフェッショナル制度に関する決議届」も同様に様式変更になります。)
社内のフォーマット関係を確認していただき、修正が必要なものがあればこの機会に差し替えをすることをおすすめいたします。
前掲通達によると、
とありますので、新旧どちらの様式で届出してもよいということになります。
また、
適格性チェックボックスの記載の補正等を行っていない旧様式による届出については、形式上の要件に適合していないため、届出を行った使用者等に対し、新様式により改めて届出を行うか、チェックボックス不備の旧様式による届出に、必要事項にチェックした別添2を添付した上で改めて届出を行うよう指導すること。
とありますので、適格性チェックボックスが漏れてしまうと受理されません。期間ギリギリに届出をして差し戻しになりますと、期限遅れが生じる恐れがありますのでご注意ください。
さらには、
記名のみでの申請等を行うことが可能となることにより、適切な労使合意がないまま届出が行われる等の懸念が示されていることから、令和3年4月1日以降、必要に応じ、労使協定の締結状況、協定当事者の適格性等について使用者等から聴取するなど必要な確認を行うこと。また、監督指導時においても、必要に応じ、同様の確認を行うこと。
とありますので、労働基準監督署の窓口で確認や指導が行われることも想定されます。労働者代表の選出手続きが形骸化している企業については、本改正を好機としていただき、適正な選出手続きを社内定着させるようにしましょう。
(36協定書類を作成している事務方の人事担当者がご自身や部下に押印させるようなあからさまなケースも中小企業ではまだまだ多いのですが、さすがにそのような運用は時代遅れの感があり、改めていく部分かと思われます。)
今般の改正は、行政手続における申請等について、押印又は署名を不要とするものであるところ、労使協定・決議に係る労使間の手続は、労使慣行や労使合意により行われるものであり、その手続に直接影響を及ぼすものではない。このため、例えば、従前から、労使協定を締結する際、記名押印又は署名により労使双方の合意があることが明らかになるような手続を取っているものについても見直しが必要であるか問われた場合、当該記名押印又は署名の手続を不要とすることが望ましいなどの教示を行わず、労使双方の合意によるべきである旨を適切に教示すること。
とあります。
要は、行政への届出については押印・署名の省略は可能であるものの、労使合意としての書面は別問題であり、これまで同様に押印・署名による合意文書を作成する必要があるということを指しています。
例えば、36協定にしても、行政への「協定届」と社内合意文書としての「協定書」を別々に作成する企業は少数派と思われますので、これを兼用とする場合は、引き続き押印・署名は必要ということになります。
以上、ポイントとしては、「令和3年4月1日以降は、労使協定の届出については労働者代表選出に関しての適格性チェックボックスが必要となり、形式的にも実質的にも適正な対応が求められる。」ということになります。
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