2021/03/24
A、中国の定年年齢は性別や労働者の状況により異なり一律ではありません。また、定年年齢を過ぎた後に働く場合の契約は、労働契約ではなくなることが通常です。以下の解説により、中国の定年年齢に関する定めや今後の動向、定年年齢を過ぎた人を雇用する場合の契約等についてご紹介します。
現在、中国における労働者の法定定年年齢は、次のとおりです。
(幹部満55歳) |
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に従事する場合 |
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病院に証明され、かつ労働鑑定委員会に 労働能力完全喪失と確認された場合 |
基本養老保険に加入した個人は、定年年齢に達した時点で累積納付年数が満15年に達している場合、毎月基本年金を受け取ることができます。基礎養老保険に加入した個人が定年年齢に達した時点で累積納付年数が15年未満の場合には、満15年に達するまで納付し、その後、毎月基本年金を受け取ることができるほか、新型農村社会養老保険または都市住民社会養老保険に編入し、国務院の規定に基づいて相応の養老保険待遇を受けることもできます。
近年、高齢化は社会的に大きな問題となっており、定年年齢の引き上げは将来的な必須事項となっています。
2016年7月、「人的資源と社会保障事業発展第13次5か年計画要綱」第三章第二節において、「漸進的定年年齢引き上げ案を策定・発表する」ことが示されています。また、2020年10月、中国共産党第十九期中央委員会第五回全体会議で採択された「中国共産党中央委員会 国民経済・社会発展第14次5か年計画と2035年の長期目標の策定に関する建議」第45には「基本養老保険の全国統一を実現し、漸進的な定年年齢引き上げを実施すること」が記されており、中国政府は、定年年齢を徐々に引き上げていく方針であることが分かります。
定年退職者を再雇用する場合、1年契約や短時間契約で新しい労務契約(「労働」契約ではありません。「労働」契約と「労務」契約の違いについては後述します。)を締結し、労務契約には、会社がいつでも契約を解除できる権利を定めることが一般的です。会社と定年退職者との関係は、定年退職者の個人状況と地方レベルの司法実務によって異なります。以下で定年退職再雇用後の当事者間の関係が「労働」関係なのか「労務」関係なのかの類型を紹介します。
「最高人民法院の労働争議案件審理の法律適用に関する問題の解釈(一)」第32条により、会社と「法による養老保険待遇を受けている人または退職金を受け取っている人」との間で争議が発生して訴訟が提起された場合、裁判所は労務関係によって処理しなければなりません。
① 定年年齢に達し、退職金または養老保険待遇を受けていない定年退職者との関係は「労務」関係(例:北京市、山東省)
定年年齢に達していることを条件として、退職金または養老保険待遇を受けているかどうかにかかわらず労務関係とする地方政府があります。
② 定年年齢に達し、退職金または養老保険待遇を受けていない定年退職者との関係は「労働」関係(例:広東省)
定年年齢に達していても、退職金または養老保険待遇を受けていないこと条件に、労働関係とする地方政府があります。
③ その他(例:上海市)
上海市においては、《上海市高级人民法院労働争議案件審理要件指南(一)》により、労働者が定年年齢に達しても、会社が労働契約を解除せずに雇用する場合には労働関係と取り扱われ、定年年齢に達して、労働契約が解除された場合には、社会保険の納付年数不足により養老保険待遇を受けていない労働者が再就職した場合には労務関係と取り扱われます。
ここでは労働契約と労務契約の違いを表にまとめました。主に次の5点が異なります。
適用法律 |
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締結時期 |
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契約当事者 |
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契約内容 |
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紛争解決 および管轄 |
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中国において高齢化は急速に進んでおり、定年年齢の引き上げは必須です。従業員がこれまでよりも長い期間、働くようになることを前提として、業務配分や給与制度のこれからの在り方について、改めて検討してみてはいかがでしょうか。
本稿は、みずほ銀行が発行するメールマガジン「Mizuho China Monthly 2021年2月号」に寄稿させていただいたものを再編集したものです。「Mizuho China Monthly 2021年2月号」の記事では、各項目の法令根拠や、判例のご紹介と解説なども記載しています。ぜひご参照ください。
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